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SDGsにおける環境問題への取り組みとは?企業事例や私たちができること

記事カテゴリ:[ SDGs ]

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更新日:2025/1/31

今、かつてない危機に直面している地球環境。2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsの17の目標の中には、私たちの生存と繁栄に直結する環境問題に関連した項目が含まれています。

気候変動、海洋汚染、生物多様性の喪失など、多くの課題に取り組むことは、私たち全員の責任です。この記事では、環境問題に焦点を当て、SDGsの取り組みと具体的な企業事例、そして私たちが日常生活でできることを紹介していきます。

SDGsにおける環境問題に関する主な目標

SDGsの17の目標は「経済圏」「社会圏」「生物圏」の3つの階層から成る、という考え方をウェディングケーキモデルといいます。持続可能な発展には生物圏(環境)が基本的な土台となり、その上に社会圏、さらにその上に経済圏があるとする考え方です。

このため、環境問題に対する取り組みは地球規模での持続可能な発展を推進するために欠かせません。

ここでは、環境問題に関連するSDGsの主な目標を解説していきます。

参考:SDGs(持続可能な開発目標)×多面的機能支払交付金 | 農林水産省

1-1 SDGs13:気候変動とその影響に対処しよう

SDGs13『気候変動に具体的な対策を』では、目標達成に向け「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」必要性を示しています。

近年、世界各地で熱波や干ばつ、山火事、豪雨など気候変動による災害は激しさを増し、その主な要因は、二酸化炭素(以下、CO₂)やメタンなどの温室効果ガスにあると言われています。変動のスピードを緩めるためには、国家戦略に気候変動への対応を組み込み、企業や市民社会との連携を強化しなくてはなりません。また、発展途上国への支援も、気候変動の影響を緩和するために重要です。

参考:気候変動とは|特定非営利活動法人 気候ネットワーク

1-2 SDGs14:海の豊かさを守ろう

海に流れ込むプラスチックごみは2016年時点で世界全体で毎年900〜1,400万トンにも上ると考えられ、このままだと2050年までに250億トンのプラスチックごみが発生し、海洋中のプラスチックごみが魚の総重量を超えるなど、海洋生態系に深刻な影響を及ぼしているのはご存知でしょうか?SDGs14『海の豊かさを守ろう』の具体的な目標は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことです。

地球上にある水の約97.5%は海水で、地表の約70%を覆っていますが、その海にはおよそ23万種もの多様な生き物が生息しており、食料や資源の供給だけでなく、観光や娯楽の場として、私たちの暮らしを大きく支えてくれています。

しかしその海の豊かさが今、人間の行動によって危機的な状況に陥っています。

そこで、人間と海とがいつまでも共存し、海の豊かさを持続的に維持していくための仕組みづくりが強く求められています。

参考:第4章水の星地球-美しい水を将来へ-|環境省
参考:コラム2「水をめぐる世界の環境変化」|国立研究開発法人国立環境研究所
参考:第3章 海洋の生物多様性及び生態系サービス|環境省
参考:流出石油が環境に及ぼす影響|独立行政法人製品評価技術基盤機構
参考:SDGsのきほん 未来のための17の目標 海の豊かさ 目標14|株式会社ポプラ社
参考:Visual Feature | Beat Plastic Pollution

環境問題に対する世界の現状と課題

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世界は、気候変動、海洋汚染、生物多様性の減少など、地球規模で解決すべき多くの課題を抱えています。

ここからは、世界が直面している環境問題の現状と課題を詳しく解説します。問題に対処するための取り組みを見ていきましょう。

2-1 水質改善・下水道設備の普及

水質改善と下水道設備の普及は、世界中で重要な課題です。

2023年7月5日付けで発表されたユニセフの報告書によると、最低限の飲料水サービスさえ利用できない人は、2000年から2022年までの間に約12億人から約7億300万人に減少したものの、依然として下水道設備の普及が課題となっているのが現状です。

下水道設備が整っていない地域では、水質汚染が深刻で、衛生状態の悪化が問題となっており、水質改善や下水道設備の整備を早急に進める必要があります。持続可能な開発を支援するには、国際的な支援や技術移転が必要です。

水の供給や衛生環境に影響するインフラの改善により、病気の蔓延を防ぐことができます。水質改善と下水道設備の普及が進めば、人々の生活の質が向上し、経済活動の安定も期待できます。持続可能な社会の発展を促進する基盤が整うでしょう。

参考:Progress on household drinking water, sanitation and hygiene 2000-2022: Special focus on gender - UNICEF DATA

2-2 再生可能エネルギーの普及

再生可能エネルギーは、持続可能な社会を実現するために不可欠な要素です。太陽光や風力などを利用した再生可能エネルギーは、CO₂を排出せず、原資が枯渇しないため、特に重要視されています。

近年、世界的に再生可能エネルギーの導入が加速し、先進国を中心に発電比率が高まっています。日本では、2012年に開始されたFIT(固定価格買取制度)によって、再生可能エネルギーの普及が大幅に進展しました。しかし、依然として石炭や石油などの化石燃料への依存度は高く、再生可能エネルギーへの移行がさらに必要とされています。

環境負荷を減少させ、持続可能なエネルギー供給を実現するための取り組みが継続的に必要です。

参考:国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案 | 資源エネルギー庁

2-3 地球温暖化対策

地球温暖化は、世界中にさまざまな影響を及ぼしています。北極圏の海氷面積は年々縮小し、異常気象が頻発して大災害のリスクが増大しています。海面水位が上昇し、沿岸部の生態系や、人々の生活が脅かされています。

日本でも、特に夏季の気温上昇により熱中症のリスクが高まり、人々の生活に影響を及ぼしているのは周知の事実です。農業や水産業においても、生産量の減少や品質の低下など、多くの問題が発生しており、地球温暖化の影響は広範囲にわたっています。

2015年に採択されたパリ協定は、気候変動に対処するための国際的な枠組みとして、温室効果ガスの排出量削減に取り組むことを求めました。気温上昇を産業革命以前の水準から2℃未満、できれば1.5℃以内に抑えることが目標として掲げられています。

しかし、現在の対策ではこの目標達成は難しいのが現状です。今後も地球温暖化が進む可能性がある中、政府や企業、そして個人レベルでできることを行動に移す必要があります。エネルギー効率の向上や、再生可能エネルギーの導入、省エネ家電の使用など、生活の中に取り入れていくことが大切です。

参考:「おしえて!地球温暖化」| 環境省

2-4 リサイクル活動

リサイクル活動は、持続可能な社会を実現するために必要不可欠です。世界的に見ても、ごみの不法投棄や環境汚染は深刻な問題となっており、特に海洋や森林への影響が懸念されています。

この問題に対し、各国ではリサイクルの推進や「Reduce(リデュース)」、「Reuse(リユース)」、「Recycle(リサイクル)」の3つからなる「3R」の取り組みが活発です。3Rとは、「Reduce(リデュース)=ごみそのものを減らす」、「Reuse(リユース)=何度も繰り返し使う」、「Recycle(リサイクル)=資源として再活用するという」の頭文字をとった3つの行動の総称です。
日本でも、リサイクル率が80%を超える自治体が存在し、資源の有効活用が各地で図られています。また、リサイクル素材を使用した商品の開発や、廃棄物の削減に向けた取り組みを強化する企業が存在しているのは、皆さんもご存知でしょう。

国や企業が環境への負荷を減らす努力を続ける中、私たち一人ひとりもリサイクル活動に積極的に参加し、持続可能な将来を共に築いていくことが求められています。

参考:一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について | 環境省

2-5 森林の環境保全

特に南アメリカ、アフリカ、東南アジアなどの熱帯地域の森林が急速に減少しています。これは主に、土地利用の転換や、焼き畑農業の増加、燃料用木材の過剰な採取、森林火災が原因です。

一方で、中国、オーストラリア、ヨーロッパなどの一部の国や地域では、植林活動の推進により森林面積が増加しています。しかし、世界の森林は減少を続けており、森林の保全が急務です。

日本では、違法伐採対策としてグリーン購入法が施行されており、環境に配慮した木材や木材製品の利用を推進中です。森林はCO₂の吸収や生物多様性の保全など多くの重要な機能を持っており、気候変動対策にも直結しています。持続可能な森林の管理と違法伐採の防止をすることは、地球環境の保全においてとても重要な活動です。

参考:世界の森林を守るために | 環境省
参考:世界の森林の現状 | 環境省

2-6 海洋資源の保全

海洋は気候変動の緩和や食料の供給などわたしたちの生活に重要な役割を果たしています。そのため、海洋資源の保全は持続可能な社会の実現につながる取り組みの一つです。

海洋汚染は、汚染水の排出やプラスチックごみの影響により、海洋生態系に深刻なダメージを与えています。特にマイクロプラスチックは、海洋生物やそれを介する食物連鎖に悪影響を及ぼしています。また、地球温暖化による海水温の上昇や酸素欠乏、酸性化も、海洋生物に深刻な影響を与えており、対策は急務の課題です。

各国では、海洋保護区の設定や漁獲量の制限、気候変動対策が進められており、日本でも海洋環境保全に向けた取り組みが強化されています。違法操業の取り締まりや、プラスチックごみの削減に向けた政策がその代表です。個人レベルでも、プラスチック使用の削減や海洋ごみの清掃活動が奨励されています。

持続可能な海洋資源の管理は、地球全体の生態系を守り、次世代に豊かな海を引き継ぐための重要な鍵です。共に行動し、海洋資源の保全を推し進めていきましょう。

参考:海洋生物多様性保全戦略 | 環境省

2-7 生物多様性の保護

生物多様性は、地球上の生物の遺伝子や種、生態系の多様性のことを指し、健全な生態系の維持に欠かせない要素です。生物多様性が豊かであるほど、生態系は外的なストレスに対する耐性が強くなり、安定した状態を保ちます。

しかし、気候変動や人間の活動により、生物多様性が急速に失われつつあるのが現状です。この対策として、生物多様性条約の締結や生物多様性基本法の施行など、国際的および国内的な取り組みが進められています。生物多様性の保護は、地球全体の環境を守ることと同意義です。自然資源を持続的に利用し、環境負荷を最小限に抑えることで、生物多様性の保護に貢献できます。

私たち個人も、自然環境に配慮した生活を送ることを通して、生物多様性の保護に寄与することが可能です。豊かな自然環境を代々引き継いでいきましょう。

参考:生物多様性 | 環境省

環境問題への取り組みに関する世界の主な動き

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世界各国は、環境問題に対してさまざまな取り組みを行っています。気候変動や海洋汚染といった地球規模の問題に対応するため、国際的な合意や条約が制定されています。実際にどんな対策があるか、具体的に見てみましょう。

3-1 地球温暖化対策

以下では、主な条約や合意をいくつか見ながら、それぞれがどのように地球環境の保護に貢献しているかを紹介します。

3-1-1 気候変動枠組条約(UNFCCC)策定

気候変動枠組条約(UNFCCC)*1は、地球温暖化問題に対応するため、1992年にリオデジャネイロで開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」で採択、1994年に発効しました。
温室効果ガスの大気中の濃度を安定させ、気候システムへの人為的影響を防ぐことを目指した条約です。この枠組みのもとで、1995年以降毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)*2が開催され、各国は温室効果ガスの削減目標や適応策を協議しています。

この条約は、気候変動対策における国際的な取り組みの基盤を形成。企業に対しても、持続可能なビジネスモデルの構築を求めていて、温室効果ガス排出量削減や環境負荷の低減に向けた具体的なアクションが必要となりました。気候変動に対して国際的に取り組むための重要な基盤となっています。

*1 United Nations Framework Convention on Climate Changeの略
*2 Conference of the Partiesの略

参考:気候変動に関する国際枠組み|外務省
参考:気候変動枠組条約 | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

3-1-2 京都議定書採択

京都議定書は、1997年に日本の京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3、京都会議)で採択され、2005年に発効しました。

この議定書は、先進国に温室効果ガスの排出量削減を義務付ける国際的な合意です。1990年を基準年として、各国に対して2008年から2012年までの間に具体的な削減目標を設定しました。

例えば、日本は1990年比で6%の削減を目標とし、他の先進国もそれぞれの目標を掲げました。地球温暖化対策における初の法的拘束力を持つ枠組みとして、気候変動に対する国際的な取り組みを進める上で画期的な役割を果たしたのです。

企業がエネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの導入を通じて、持続可能な成長を目指す必要があるという認識が、京都議定書をきっかけに広がったと言っても過言ではないでしょう。

参考:「京都議定書」とは | 京都府
参考:気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書(和文)| 環境省

3-1-3 SDGs(持続可能な開発目標)の採択

「地球上の誰一人取り残さない」との理念を掲げ、人類が今後も地球上で暮らし続けていくために達成すべき17の目標と行動計画をまとめた「SDGs(Sustainable Development Goals)」。

それぞれの目標には、環境問題を含む地球規模の課題に対応するため、気候変動対策や資源の持続可能な利用、生物多様性の保全などが含まれています。SDGsは、先進国を含むすべての国が共通して取り組むべき課題として位置づけられており、持続可能な社会の実現に向けた国際的な協力が不可欠です。

日本政府もSDGsを基に、脱炭素社会の実現やプラスチックごみの削減などを推進中です。補助金や助成金制度を設け、民間事業者や自治体の環境問題への取り組みを推し進めています。

参考:持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs | 地球環境・国際環境協力 | 環境省

3-1-4 パリ協定の採択

パリ協定は、2015年にパリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択され、地球温暖化に対する包括的な対策を定めた国際協定です。この協定では、産業革命前と比較して地球の平均気温上昇を2℃未満に抑えることを目指し、さらに1.5℃に抑える努力をすることが合意されました。

この協定の特徴は、すべての国が自主的に温室効果ガスの削減目標を設定し、その達成に向けた具体的な行動計画を策定する点です。また、途上国への資金提供や技術支援も奨励され、国際的な協力も求めました。

パリ協定は、気候変動に対する世界的な取り組みを加速させ、持続可能な将来の実現に向けた道筋を示す重要な枠組みとして位置づけられています。パリ協定を元に、環境負荷を減らす具体的な対策を推進している多くの企業が存在していることにも注目です。

参考:2020年以降の枠組み:パリ協定|外務省

3-2 海洋汚染対策

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次に、海洋汚染に対する国際的な取り組みについて見ていきましょう。海洋は地球の生命を支える重要な環境です。さまざまな国際条約や会議が、海洋汚染の防止と海洋資源の保全に向けた具体的な行動を推進しています。

3-2-1 ロンドン条約とロンドン議定書

ロンドン条約は、1972年に採択された「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」で、1975年に発効しました。この条約は、海洋環境保護を目的としており、有害な廃棄物の海洋投棄を規制するために廃棄物の管理や処分について厳格な基準を設け、各国にこれを遵守することを求めています。

その後、ロンドン条約をさらに強化すべく、1996年にはロンドン議定書が採択。2006年に発効しました。ロンドン議定書では、廃棄物の海洋投棄を原則として禁止し、海洋環境保護の規制が厳格化されています。廃棄物のリサイクルや再利用の促進も重要な柱とし、海洋環境に与える影響を最小限に抑えることを目指しています。

ロンドン条約と議定書は、発展途上国における海洋汚染対策の強化も目指し、国際的な海洋環境の保全を提案しているのです。

参考:ロンドン条約及びロンドン議定書|外務省

3-2-2 海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)

国連海洋法条約(UNCLOS)は正式名称を「海洋法に関する国際連合条約(United Nations Convention on the Law of the Sea)」といい、1982年に採択され、1994年に発効し、海洋環境保護に関する包括的な法的枠組みを提供している国際条約です。この条約は「海の憲法」とも呼ばれ、海洋の利用、資源管理、環境保護に関する包括的な規制を定めています。特に、油流出や廃棄物による汚染防止のための具体的な規制が設けられているのが特徴です。また、各国に条約に基づいて国内法を整備する義務が課せられています。

条約の目的は、漁業資源の管理や海洋環境の持続可能な利用に焦点を当て、国際的な協力を強化することです。この条約を制定することにより、海洋資源の持続可能な利用と環境保護のための国際的な基盤を築く重要な役割を果たしています。

参考:海洋の国際法秩序と国連海洋法条約|外務省

3-2-3 海洋プラスチック憲章

海洋プラスチック憲章は、2018年のG7サミットで採択された、海洋プラスチック汚染に対処するための国際的な合意です。カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、EUのリーダーたちは、プラスチックごみの削減を目指し、プラスチック商品のリユースやリサイクルを促進することを約束しました。

具体的には、2030年までに100%のプラスチックがリユース、リサイクル、または回収可能となるようにすることを目標としています。また、使い捨てプラスチックの削減や、プラスチックの管理に関する新しい基準の策定も含まれているのが特徴です。この憲章は、海洋資源の持続可能な利用と環境保護を促進するための国際的な枠組みを形成しており、各国の協力を引き出す礎となっています。

参考:海洋プラスチック憲章(JEAN版全文仮和訳) | 一般社団法人 JEAN

3-2-4 国連海洋会議の開催

国連海洋会議は、SDGsの一環として、海洋保護を強化し、海洋の持続可能性を促進するための国際会議です。SDGs14「海の豊かさを守ろう」の目標達成支援を目的として、2017年にニューヨーク国連本部で初めて開催されました。

また、2022年にはリスボンで2回目の会議が開催され、各国が具体的に取り組むべきアクションについて議論が交わされています。会議では海洋プラスチックごみの削減、持続可能な漁業の推進、海洋保護区の拡大、科学的データに基づく政策の強化などが具体的な方策として提案されました。150か国以上の政府関係者が参加し、リスボン宣言として、目標達成に向けた国際的な協力が再確認されています。

2025年にはフランスでの開催が予定されており、今後も海洋環境保護に向けた国際的な取り組みが進められる予定です。この会議は、海洋資源の持続可能な管理と保護に向けた重要なステップとなっています。

参考:国連海洋会議(2016年12月発表) | 国連広報センター

環境問題の課題解決に向けて私たちができること

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環境問題の解決に向けて、私たち一人ひとりが日常生活でできることは数多くあります。本章では、省エネやリサイクル、ペーパーレス化など、私たちが取り組むべき具体的なアクションを紹介。これらの行動を日々実践し、持続可能な将来の実現に貢献しましょう。

4-1 省エネに取り組む

省エネは、環境保護に直結する最も重要な取り組みのひとつです。エネルギー消費を削減することでCO₂排出量を減らし、地球温暖化の進行を抑制する効果が期待できます。

例えば、エアコンの設定温度を1℃変更するだけで、年間に排出されるCO₂を大幅に削減可能です。外気温が31℃の場合、冷房設定温度を27℃から28℃に上げるだけで、年間で約14.8kgのCO₂削減効果が得られます。また、冷蔵庫の温度設定や照明器具の使い方を見直すことも、省エネに貢献する効果的な方法です。

省エネは、家庭や職場で簡単に実践できます。日常的に意識することで、エネルギーの無駄を削減し、持続可能な社会の実現に向けた一歩を踏み出すことができるのです。

参考:家庭向け省エネ関連情報 無理のない省エネ節約 | 経済産業省資源エネルギー庁

4-2 リサイクルをする

持続可能な社会を築くための基本的な活動として、リサイクルを挙げる人も多いでしょう。ごみ問題を解決し、資源を有効活用するためには、「Reduce(リデュース)=ごみそのものを減らす」、「Reuse(リユース)=何度も繰り返し使う」、「Recycle(リサイクル)=資源として再活用するという」の3つからなる「3R」を意識した行動が効果的です。

それぞれの具体的な内容としては、Reduce(リデュース)が「マイバッグ・マイボトルを持つ」「詰め替え用がある商品や簡易包装の商品を選ぶ」「レンタルやシェアリングシステムを利用する」など。

Reuse(リユース)が「繰り返し使用できる容器に入った商品を選んで、使い終えたらリユース回収に出す」。Recycle(リサイクル)には「ビン、缶、ペットボトルなど資源として分別する」「リサイクル商品を選ぶ」などがあります。

リサイクルによって、埋立地の容量を節約し、資源の枯渇防止が可能になるでしょう。私たち一人ひとりが日常生活で取り組める具体的なアクションであり、地球環境の保護に大きく貢献する活動です。

参考:循環型社会づくりに向けて | 環境省

4-3 ペーパーレス化する

ペーパーレス化は、紙の使用量を減らし、森林伐採や廃棄物の削減につながる取り組みです。デジタル化が進む現代において、紙を使わずに情報を管理することは以前よりずっと容易になりました。

例えば、オフィスでは書類を電子データとして保存することで紙の消費を抑え、廃棄物の削減を図ることが可能です。また、新聞や雑誌をデジタル版に切り替えることで、紙の使用量を削減できます。

ペーパーレス化を進めれば、印刷や運搬にかかるエネルギー消費も削減可能で、全体的なCO₂排出量の削減にもつながります。

4-4 環境に配慮した商品を選ぶ

環境に配慮した商品を選ぶことは、消費者として私たちができる環境保護の具体的なアクションです。現在、素材選定や製造過程において持続可能性が考慮されている商品が多く開発されており、再生可能な素材やリサイクル可能な部材が使用されています。

また、エネルギー効率の高い家電製品や、再生可能エネルギーを使用して製造された商品を選択することも重要です。ぜひ日々できることを行動に移していきましょう。

4-5 環境問題に関心を持つ

環境問題に対して関心を持つことは、持続可能な将来を築くための第一歩です。

2020年度に内閣府が実施した調査によると、88.3%の人が「環境問題に関心がある」または「ある程度関心がある」と回答しています。高い関心は、行動に移す大切な前提です。実際に行動へ移し、身近なところから環境問題に取り組んで行きましょう。

参考:2 地球環境問題に対する国民の関心 | 農林水産省

環境問題に対するネスレ日本の取り組み事例

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ここまで、世界の環境問題に対するさまざまな取り組みを見てきましたが、ここからは環境問題に対するネスレ日本の取り組みを紹介します。

再生可能エネルギーの利用やCO₂排出量の削減など、具体的な事例を見ていきましょう。

5-1 再生可能エネルギーの利用

ネスレ グローバルは、企業全体で2030年までに温室効果ガス排出量を半減、2050年までに実質ゼロの達成を目指しています。

ネスレグローバルでは、2025年までに工場での購入電力を100%再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えることを目指してきました。今回ネスレ日本では、目標を前倒し、2023年に、全工場での購入電力を再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えました。全3工場合計の温室効果ガス(GHG)排出量年間削減量は約50,000トンになる見込みです。排出量削減に向けて、今後も着実に貢献したいと考えています。

再生可能エネルギーに関する取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます。

5-2 温室効果ガスの排出量の削減

原料の生産や輸送、製品の販売や購入など、さまざまなステップで物流は欠かせませんが、物を運ぶには温室効果ガスが発生してしまいます。

そこでネスレ日本は、日本貨物鉄道株式会社とJR貨物グループとの間で、2024年2月より静岡〜大阪間における「ネスカフェ ボトルコーヒー」の定期貨物鉄道輸送を開始しました。

これまでも、温室効果ガスの排出量を減らすため、トラックから貨物鉄道や船舶などに輸送を切り替える「モーダルシフト」を積極的に取り入れてきましたが、今後はそれらをさらに推し進める予定です。

貨物鉄道輸送に関する取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます。

5-3 プラスチック製から紙製への移行

海洋プラスチックごみの発生を抑えるためには、消費者のみならず、さまざまな商品を製造販売している企業による取り組みもとても重要です。
現在、ネスレ日本を含めたネスレ全体では「2025年までにプラスチックパッケージの95%以上をリサイクル可能に設計する」ことや、「2025年までにバージンプラスチックの使用量を3分の1削減する(2018年対比)」ことを目指しています。

そこで、ネスレ日本では2019年9月より、「キットカット」の主力製品である大袋タイプ5品の外袋をプラスチックから紙パッケージに変更する取り組みをスタートしました。さらに2020年はほぼすべての「キットカット」大袋製品へと拡大し、プラスチックを削減してきました。

また、2021年1月から、ネスレ 日本のヘルスケア特化カンパニー、ネスレ ヘルスサイエンスが手掛ける「アイソカル100」をはじめとする栄養補助飲料12品目の付属ストローを、従来のプラスチック製から紙製に変更しました。

「キットカット」と「アイソカル100」の取り組みについての詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

関連記事:2020年秋より「キットカット」のほぼ全ての大袋タイプ製品の外袋を紙パッケージへ変更| ネスレ日本

関連記事:2021年1月より、「ネスレ ヘルスサイエンス」栄養補助飲料のストローをプラスチック製から紙製に順次変更 | ネスレ日本

5-4 食品ロスボックスの運用開始

ネスレ日本では、「みんなが笑顔になる 食品ロス削減ボックス」をみなとく株式会社(現ZERO株式会社)と共同開発し、流通先の納品期限を超過した自社製品を専門に販売する無人販売機を、2021年6月よりスタートさせました。

納品期限を超えたという理由から、場合によっては廃棄される可能性がある「ネスカフェ」や「キットカット」などの製品を、冷蔵機能付きの無人販売機「fuubo(フーボ)」を活用して、販売できるようにしたものです。製品の賞味期限は1ヶ月前まで(容量の多い製品は2ヶ前まで)となっています。

このように、食品ロスを削減することで、農業従事者が生産するコーヒー豆やカカオ豆などの原材料をできる限り無駄にせず、持続可能な形で消費者に製品をお届けする仕組みを作りたいと考えています。

ネスレの「食品ロス削減ボックス」についての詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

5-5 環境教育の機会提供

ネスレ日本は、地域社会と連携して環境保護活動を推進しており、2019年からNPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトと共にビーチクリーン活動をスタートしました。

2023年には、株式会社神戸製鋼所が加わり、「小さな行動も、みんなで協力することで大きな力になる」という想いのもと、プロジェクト名を『One Action Beach Clean』と改め、取り組みを拡大しています。

三者の社員やその家族が清掃活動に参加し、環境教育の機会を得ることで、環境問題に対する意識を高めています。

企業と地域社会が連携することで環境保全に向けた行動変容を促すことを目指し、参加者が日常生活で持続可能な選択ができるよう活動を続けてきました。また、地域の自然環境を守るだけでなく、社員やその家族が一体となって取り組むことで、企業文化の醸成にも寄与しています。

神戸市須磨海岸での清掃活動に関する詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

5-6 リサイクル活動の促進

ネスレネスプレッソでは2020年8月より「ネスプレッソ リサイクルプログラム」を開始しました。 カプセル回収ボックス設置店舗やパートナー企業などにて回収した使用済みカプセルを分別し、カプセルのアルミニウムは再生アルミニウム素材に、またコーヒーかすは培養土へと生まれ変わっています。
こうした活動を通して、ネスレ日本は、循環型経済の促進と環境負荷の低減に取り組んできました。

さらに、ネスレ日本は製造プロセス全体の見直しを行い、使用する素材や工程の持続可能性を重視することで、環境負荷の低減に取り組んでいます。このように、日本の循環型経済の促進に貢献し、持続可能な社会の実現に向けた企業の責任を果たすために取り組みを進めてきました。今後もリサイクル活動を積極的に推進し、さらなる環境保護のための努力を続けていく方針です。

これらの取り組みに関する詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

5-7 アップサイクルの推進

ネスレ日本は、廃棄物削減とリソースの有効活用を目指し、2022年2月に日清紡グループと共同で、持続可能なアップサイクルの取り組みを開始しました。これは廃棄される紙資源を利用して紙糸をつくり、この紙糸をコーヒー残渣で染めて衣類に仕立て上げるという取り組みです。

2023年3月、資源や食品残渣のリサイクル率向上を目指す企業連携プラットフォーム「一般社団法人アップサイクル」に参画しました。廃棄される紙資源や間伐材を紙糸にアップサイクルするプロジェクト 「TSUMUGI」には、紙資源の一つとして、「ネスカフェ エコ&システムパック」や「キットカット」、「モンプチクリスピーキッス」大袋製品等、ネスレ日本製品の紙パッケージが使用されています。

これにより、使い終わった資源を単に廃棄するのではなく、新たな価値を持つ製品へと生まれ変わらせることが可能です。

この取り組みの目的は資源の有効活用だけにとどまりません。「モノを大切に長く使い続ける」という価値観を広げることにも重点を置いています。

ネスレと日清紡グループが取り組むアップサイクル衣服に関する詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

持続可能な社会の実現に向けて環境問題に取り組もう!

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SDGsでは、気候変動や海洋汚染、生物多様性の保護など、環境問題に対する具体的な目標が掲げられています。それぞれの目標を達成するには、国際機関や政府、自治体だけでなく、企業や個人の積極的な取り組みが不可欠です。ネスレ日本が取り組む再生可能エネルギーの利用やリサイクルの推進も、その一例となります。

私たち一人ひとりが持続可能な将来を築くために行動を起こしましょう。日常生活の中で省エネ、リサイクル、環境に配慮した商品選びなど、小さな行動が大きな変化を生み出す力になります。