カカオの調達
カカオはネスレの菓子製品、特にチョコレートの主要原材料です。しかし、カカオの栽培には、森林破壊、児童労働リスク、カカオ生産者の低収入など、数多くの課題があります。
責任あるカカオの調達に向けた進捗状況
「ネスレ カカオプラン」は、レインフォレスト アライアンス認証とあわせて、これらの社会的および環境的問題に取り組み、持続可能なカカオサプライチェーンの構築に貢献します。私たちは、2025年までに100%のカカオを「ネスレ カカオプラン」を通じて調達することを約束します。
コートジボワールで最初に導入されたネスレの「Income accelerator program(収入向上プログラム)」は、現在、大規模テスト段階を無事完了し、ガーナでも展開されています。
カカオの調達に対する取り組み
「ネスレ カカオプラン」は、より責任あるカカオサプライチェーンを構築するための計画です。ネスレは、生産者、コミュニティ、現地組織や国際的組織と協力して、カカオコミュニティが直面する課題に対する解決策を生み出し、実行しています。
農業コミュニティとの協力に加え、ネスレはカカオのサプライヤーが「Responsible Sourcing Core Requirements(責任ある調達の基本要件)」に確実に準拠することを目指しています。「ネスレ カカオプラン」は毎年その範囲を拡大しており、2025年末までにネスレのカカオ供給の100%をカバーすることを目指しています。
ネスレの「Income accelerator program(収入向上プログラム)」
「ネスレカカオプラン」の「Income accelerator program(収入向上プログラム)」は、カカオ生産者の変革を奨励することで児童労働リスクに取り組み、彼らが生活に必要な収入を得られるよう支援することを目的としています。これを実現するために、金銭的インセンティブを基盤として、カカオ農場の生産性、児童教育、アグロフォレストリー、追加収入の 4 つの分野にわたって支援が提供されます。コートジボワールでの「大規模テスト」フェーズが成功した後、「ネスレ カカオプラン」「Income accelerator program(収入向上プログラム)」がガーナで開始されます。
これまで私たちは、アグロフォレストリー技術の研修、収入の多様化、剪定グループへの装備と補助金の提供を通じて、カカオ農家の生産性向上を支援してきました。彼らは村内貯蓄貸付組合に参加し、ジェンダーと起業の研修も参加しています。この取り組みは就学率とジェンダーバランスに良い影響を与え、女性の意思決定への関与が高まりました。
この制度は、すでにコートジボワールのアベングル、ガニョア、ディボ地域の1万世帯に及んでおり、2030年までにカカオサプライチェーン全体の推定16万世帯のカカオ生産者世帯に拡大される予定です。
詳細については、進捗レポート (英語版pdf、2Mb)をご覧ください。
「ネスレ カカオプラン」の 3本の柱
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より良い農業 生産者のカカオの品質改善、収入の増加、生活の改善を支援する研修とリソースを提供します。 -
より良い暮らし 児童労働リスクや、女性の地位向上に取り組み、教育を向上させコミュニティが繁栄するように支援します -
より良いカカオ サプライチェーンのトレーサビリティを向上させ、森林破壊防止に取り組みます。
より良い農業
私たちは、ベストプラクティスをサポートし、リソースを提供し、再生農法を採用するよう奨励することで、生産者の作物と生活の向上を支援しています。彼らは、フィールドスクールや個別指導で研修を受けています。
私たちの研修を通じて、生産者は作物の病気を減らし、カカオ豆の品質を向上させ、農園の若返りを図り、より持続可能な方法で土地を管理することができます。彼らの収入の多様化を支援するために、キャッサバやプランテン(バナナに似た調理に使う果物)の栽培、家畜の飼育、蜂蜜を生産する養蜂に関する研修とアクセスを提供しています。
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私たちは進捗、特に、カカオの栽培方法の変革が始まり、専門家グループが現在、高い基準で剪定を行っていることににとても満足しています。ジェンダーのエンパワーメントはプログラムの鍵であり、多くの家庭で女性の意思決定が及ぼす影響について学ぶのはとても素晴らしいことです。
より良い暮らし
カカオサプライチェーンにおける児童労働リスクへの取り組み
児童労働のリスクは、ネスレのカカオサプライチェーンにおける複雑で困難な問題であり、貧困、人口動態、教育、インフラ、現地の文化など、多くの要因の影響を受けます。ネスレは、International Cocoa Initiative、サプライチェーンパートナー、西アフリカの現地コミュニティと協力して、児童労働のリスク削減に取り組んでいます。
2012年以来、ネスレの活動の重要な要素となっているのは児童労働監視改善システム(CLMRS) です。CLMRSは危険にさらされている子どもたちを特定、認識を高め、是正措置を後押しします。
私たちの改善活動には、学校の建設や改修、学校用品の提供、出生証明書の取得支援などを通じて、子どもたちが学校教育を受けられるように支援することが含まれます。コートジボワールでのCLMRS運営の成功と課題に関するさらなる洞察は、児童労働への取り組みに関する報告書(pdf、6Mb)および「2023年共通価値の創造とサステナビリティ報告書」(pdf、19Mb)に記載されています。
「ネスレ カカオプラン」は、ネスレ以外のカカオサプライチェーンの変革にも貢献しています。ネスレの児童労働監視改善システム (CLMRS) は、児童労働リスクに取り組む主要ツールとして、多くの企業に採用されています。児童労働のリスクと教育へのアクセスへの取り組みは、当社の行動計画に定められた10の重要な人権問題の 1つです。
より良いカカオ
ネスレは直接の供給業者やパートナーと緊密に連携し、調達したカカオを個々の生産者まで遡って追跡し、森林破壊の防止に役立つ森林や果樹の植樹などの取り組みを実施しています。
複雑なカカオサプライチェーンにおけるトレーサビリティの向上
ネスレは、原産地から工場まで、カカオ製品の完全なトレーサビリティと分離の実現を目指しています。ネスレのカカオの大部分は小規模生産者によって栽培されています。私たちのアプローチは、農業協同組合と協力することです。農業協同組合は、複数の農家の生産物をグループ化しながら、個々の生産者からの購入のトレーサビリティと購入記録を提供します。
完全なトレーサビリティにより、社内および業界全体にわたってサプライチェーンの透明性と説明責任が向上します。これは、カカオ生産における児童労働や森林破壊のリスクに効果的に対処する上で非常に重要です。
私たちの Tier 1 サプライヤー (pdf、300 KB) は、協同組合との商業関係と、該当する場合はレインフォレスト・アライアンス認証を含む、協同組合の持続可能性に関する活動の大部分を管理しています。
ネスレのチームは、シェードツリー(日陰樹)の苗床の監督、協同組合向けのジェンダー研修、ビデオ研修の開発など、いくつかの側面を直接管理しています。生産性向上のため、剪定グループに助成金を支給し、サプライヤーがスケールアップできる新しいアイデアを試しています。私たちは協同組合と長期的な関係を築くことを目指しており、8年以上にわたって協同組合と連携しているところもあります。
森林環境でのカカオ栽培
カカオは日陰で栽培した方が、生育が良く収穫量も増えます。
ネスレの『Net Zero Roadmap(ネットゼロ ロードマップ)』「Income accelerator program(収入向上プログラム)」の一環として、暑熱ストレスや過度の降雨から作物を守るために、生産者に森林樹や果樹の植樹を奨励しています。これらの木は、水管理、地域の生物多様性、土壌の有機物、炭素隔離の向上にも役立ちます。また、生産者に新たなの収入源をもたらす可能性もあります。
「ネスレ カカオプラン」を通じて、世界中で139万本の森林樹と果樹を配布しました。
森林破壊に関する透明性のある報告
2020年以来、私たちはコートジボワールとガーナのカカオ農家の森林破壊撲滅の取り組みと再生農業の推進について毎年報告しています。
私たちの「Towards Forest Positive Cocoa(フォレスト・ポジティブなカカオに向けて)」レポート (英語版pdf、2Mb)は、カカオと森林イニシアチブ (CFI) に対する取り組みの一環です。CFI は、世界のカカオ使用量の85%を占める大手カカオおよびチョコレート会社35社が参加するコンソーシアムで、コートジボワールとガーナの政府が主導し、森林破壊撲滅と、森林地帯の回復を目指しています。
ネスレをはじめとする署名企業、ステークホルダー、政府にとって重要なマイルストーンであるCFI 1.0を成功裏に完了し、現在はCFI 2023-2025の第2フェーズに入っています。私たちは、サプライチェーンへの投資に加えて、共同行動および優先的な景観への共同投資を通じて加速、規模拡大する必要性を認識しています。
CFIとの取り組みは、サプライチェーンにおける森林破壊撲滅の取り組みを基盤として 2021 年に開始したフォレスト・ポジティブ戦略の一環です。私たちにとってフォレスト・ポジティブとは、サプライチェーンにおける森林破壊リスクの管理だけにとどまらず、より広範な調達環境にプラスの影響を与えることを意味します。
豊かな森林と熱心に取り組むコミュニティ
コートジボワールのカヴァリ森林における森林破壊を削減するための取り組みにより、7,000ヘクタールの自然再生と約1,500ヘクタールの森林再生を支援され、1,400人が経済的恩恵を受けました。
プロジェクトの第2フェーズでは、この作業を基に次のことを実施します。
- 地域のコミュニティと緊密に協力して、自然再生を促進し、荒廃した地域を修復します。
- 小規模生産者の生産性向上、収入の多様化の実現、資金調達の容易化を支援します。
- 特に出生証明書の取得を通じて、子どもの権利の保護を支援するために意識を高め、学校へのアクセスを容易にします。
- トレーサビリティを向上させ、価格と生産者への支払いの透明性を高めることにより、カカオとゴムのより透明性の高いサプライチェーンを確立します。
生産者がその利点を納得されているのを見ると、私もやる気が出ます。90%以上の生産者が剪定を継続したいと考えており、すでに残りの区画を剪定した生産者もいます。
関連資料
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Direct Tier 1 suppliers(pdf、300Kb)
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Net Zero Roadmap(pdf、7Mb)
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Corporate Business Principles(pdf、1Mb)
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Responsible Sourcing Core Requirements(pdf、2Mb)
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Natural Capital: Water in Agriculture(pdf、6Mb)
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Natural Capital: Biodiversity(pdf、4Mb)
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Nestlé Cocoa & Forests Initiative Action Plan(pdf、900Kb)
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Nestlé Human Rights Salient Issue Action Plans(pdf、15MB)
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Nestlé Human Rights Framework and Roadmap(pdf、5Mb)
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Nestlé Human Rights Policy(pdf、1Mb)