乳製品サプライチェーン
乳製品原材料はネスレのポートフォリオ全体で広く使用されており、温室効果ガス(GHG)排出の最大の原因となっています。乳製品、乳児用栄養製品、アイスクリーム、飲料、菓子などがこれに該当します。
乳製品サプライチェーンで生じる主な課題は、メタンを含む温室効果ガス(GHG)排出と動物福祉に関連しています。私たちは酪農家やサプライヤーと協力して、これらの問題への取り組みに尽力しています。
乳製品の調達に対する私たちのアプローチ
1.粉乳、ホエー、乳糖などの乳製品原材料は、酪農協同組合やサプライヤーから購入しています。
2. 新鮮な牛乳は酪農家から直接調達され、ネスレの工場で加工されます。私たちは 25か国で13万人以上の酪農家と直接取引しています。
ネスレ全社の乳製品戦略は、「Dairy Plan(乳製品プラン)」と「Responsible Sourcing Core Requirements(責任ある調達の基本要件)」によって推進されています。これらの取り組みは、ネスレの温室効果ガス排出量実質ゼロへの道の一部として、栄養価の高い乳製品原材料を調達し生産する上で重要な役割を果たしています。
「Dairy Plan(乳製品プラン)」は、ネスレの「Net Zero Roadmap」を構成する必須要素のひとつです。このプランは酪農家を中心に置いた総合的なアプローチで、温室効果ガス排出量の削減と再生農業の推進を通じて、乳製品原材料による環境負荷を低減し、重要な生態系を乳製品バリューチェーン全体で守ることを目的としています。
主要用語の解説
温室効果ガス排出量実質ゼロ
ネスレは、遅くとも2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロを達成することを約束しています。2020年、期限を定めた計画であるネスレのNet Zero Roadmap(英語版PDF、16Mb)を公表しました。これは、当グループの気候戦略の基盤となるとともに、SBTi(Science Based Targets initiative:科学に基づく目標設定イニシアチブ)が認証した1.5℃目標に沿った計画として機能しています。削減しきれない排出量がある場合、それらすべてを質の高い自然気候ソリューションで相殺します。温室効果ガス排出量実質ゼロについての詳しい説明はこちら をご覧ください。
責任ある調達
ネスレにとって責任ある調達とは、原材料のトレーサビリティを高め、それらがどのように生産されているかをモニタリングすることを意味します。そのためには、Responsible Sourcing Core Requirements(英語版PDF、2Mb)に定められた環境および人権に関する要件を、サプライチェーンの各段階で満たすことが必要です。このような要件には、先住民族や地域コミュニティの土地・資源を尊重することや、ネスレのサプライチェーンにおいて森林破壊および土地利用の転換が行われないようにすることなどが含まれます。責任ある調達についての詳しい説明はこちらをご覧ください。
ネスレのアプローチを構成する要素:
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品質 デジタルツールと第三者監査の活用を通じて、牛乳の完全なトレーサビリティを実現し、食品の安全性を確保します。
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気候変動 私たちは温室効果ガス排出量実質ゼロに向けたロードマップに沿って、主要な排出源への対処を通じて酪農における温室効果ガス排出の広範な削減を加速させ、低炭素飼料、堆肥管理、循環経済モデルのためのソリューションを促進することに取り組んでいます。
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酪農家の生計 ネスレは酪農家と協力し、スキルアップを通じた農場経営の継続的な改善を支援しています。こうした支援のために、私たちは技術面と財務リテラシーの両面について酪農家向け研修を行っています。この取り組みにより、生産性の最適化と所得向上といった成果が現れています。
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自然 再生酪農システムへの移行 -乳製品バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量、水管理、土壌の健全性と生物多様性、リサイクル可能またはリユース可能なパッケージの使用など。
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動物福祉 ネスレの「Responsible Sourcing Core Requirements(責任ある調達の基本要件)」には、サプライヤー向けの調達要件が定められています。
主要用語の解説
再生農業
持続可能な農業イニシアチブ(SAI)プラットフォームに基づき、ネスレは再生農業を「土壌を中心に、水、生物多様性などの天然資源を保全、回復させながら、土壌や植物に炭素を蓄積し、同時に生産者の生計向上を目指す農業アプローチ」と定義しています。再生農業の実践例には、不耕起・省耕起農法やアグロフォレストリー(森林農業)などがあります。詳細はNestlé Agriculture Framework(英語版PDF、19Mb)をご参照ください。再生農業についての詳しい説明はこちらをご覧ください。
森林破壊ゼロ
森林破壊ゼロとは、対象となる農産物が、それぞれの基準日(農産物ごとに設定。いずれも2020年12月31日までとする)以降に森林破壊や土地利用転換が行われていない土地で生産されたと評価されたことを意味します。森林破壊ゼロについての詳しい説明はこちらをご覧ください(グローバルサイトへ遷移します)。
「Dairy Plan(乳製品プラン)」の戦略的取り組み
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酪農家のエンゲージメント向上 再生農業の実践と温室効果ガス削減を促進するために酪農家への報奨制度を設けます。
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低炭素飼料の普及促進 飼料生産者や酪農家と連携し、低炭素飼料および飼料添加物の活用を通じて、農場における主要な排出源の削減を図ります。動画を見る
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堆肥管理 酪農廃棄物を有用な低炭素副産物に転換する、循環経済モデルの構築を支援します。動画を見る
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デジタルサービスのプラットフォーム 酪農家が質の高い動物ケアサービスや技術的サポートを受けられる環境を整備します。
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共同資金調達の仕組み 多様なステークホルダーとの連携による資金調達を通じて、必要な資金を確保します。
2025年には、酪農および畜産における調達や農業分野における取り組みによって、2018年比で温室効果ガス排出の実質削減量が約17.7%となりました。2018年以降、メタン排出量は20.1%削減されています¹。
¹ 排出量削減は、各プロジェクト開始前の基準年との比較で評価されます。これらのプロジェクトはネスレの気候関連目標に貢献しますが、これらの目標とは別に算出されるため、直接比較はできません。プロジェクトの資金は、ネスレが単独またはサプライヤーと共同拠出で実施しており、農場または農業原材料の調達地域において展開されています。プロジェクトは通常、農業慣行の変更や設備投資を伴います。一部のケースでは、低炭素農場からの優先調達が実施されており、その一環として、低炭素農場ですでに行われた改善に対する酪農家への割増金の支払いも行われています。
詳細は、2025 Non-Financial Statement(英語版PDF、18Mb)の「Environmental Disclosures」セクションをご覧ください。
ネスレの「Dairy Plan(乳製品プラン)」は、ネスレ農業科学研究所および外部パートナーシップの支援を受け、新たな科学的根拠に基づくソリューションを見出すことに取り組んでいます。その中で、植物科学、農業システム、酪農畜産の分野における専門知識の拡充を進めています。これら取り組みは、将来的な酪農脱炭素化のさらなる加速化を後押しします。
最も有望なソリューションは、広く展開される前に研究農場でテストされます。本研究所は、酪農家、大学、研究機関、スタートアップ、業界パートナーなどの外部パートナーと緊密に連携して活動しています。
ネスレのチームは、これらのソリューションを乳牛群の管理や効率的な農場経営などの他のアプローチと併用する方法を研究しています。
ネスレは「Dairy Plan(乳製品プラン)」を通じて、酪農家と緊密に協力し、排出量削減と農場のレジリエンス強化の両方に資する実践的で科学的根拠に基づくソリューションの導入に取り組んでいます。
乳製品供給における温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます
米国では、サプライヤーを含む酪農業界と連携し、業界の変革を推進しています。2021年6月には、米国全土の酪農家を支援するため、米国乳業のイノベーションセンターが主導する「U.S. Dairy’s Net Zero Initiative」に参加しました。ネスレはこれらの関係者と連携して、新技術の実装と環境慣行の導入を支援しており、これらの取り組みが経済的にも有益な効果をもたらすことを期待しています。目標は、2050年までに業界全体で温室効果ガス排出量実質ゼロを達成すると同時に、水の使用を最適化し、水質を改善することです。
私たちのサプライチェーンに属する米国の酪農家もすでに取り組みを始めています。ネスレの米国初の実証農場であるTrinkler Dairyの農場マネージャー、Jon Rebeiroは次のように述べています。「現在、私たちの農場ではより持続可能な農業慣行を実践しており、牛のふん尿はすべて作物の肥料として使用するか、乾燥させて敷料として再利用しています。」
南アフリカのジョージにあるSkimmelkrans農場(グローバルサイトへ遷移します)では、牛のふん尿を収集して圧搾し、固体と液体に分離しています。固体は堆肥として土壌に還元し、液体は牧草地への灌漑に使用することで、大気中へのメタン排出量を削減しています。Skimmelkrans農場は多様な要素から成る事業展開を行っており、ふん尿の土壌還元から、外部の飼料サプライヤーからの大量購入に頼らない自家製飼料の生産までを行っています。ネスレの乳製品サプライチェーンに属する南アフリカの他の農場でも、気候変動対策が実施されています。
私たちは主要な乳製品原材料サプライヤーとの協力関係を拡大しています。ニュージーランドを拠点とするSynlait Milk Ltdは近年、ネスレおよび酪農家サプライヤーとの間で独自の三者パートナーシップを構築し、農場における排出量削減のための革新的なツールへの資金提供を支援しています。このパートナーシップは、農場の効率性向上のために農場において実施するソリューションに力を注いでいます。具体的には、廃水管理システム、低排出飼料の選択肢、先進的な土壌検査、代替肥料、植林などを対象としています。この枠組みでは、ネスレ、Synlaitおよびその酪農家サプライヤーが7年間にわたりこれらのソリューションに共同投資を行います。
また、Fonterra(グローバルサイトへ遷移します)とのパートナーシップも展開しており、炭素固定を目的として限界農地に在来樹木を植林することや、肥料を含む栄養源の使用を最適化することなど、農業慣行を通じた農場における温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。
責任ある調達とトレーサビリティに向けて
独立監査法人が、動物福祉、労働慣行、環境への影響に重点を置き、ネスレの責任ある調達の基本要件に照らして、サプライチェーンに関わる酪農家の評価を実施します。
2025年には、ネスレの主要原材料量の調達量の49.8%が責任ある調達によるものになりました*。特に乳製品と牛肉(肉・鶏肉・卵の原材料カテゴリーの一部)については、同期間における責任ある調達の割合が60.4%に達しました。
*この目標の対象範囲に含まれるネスレの14の主要原材料は、穀類、カカオ、ココナッツ、コーヒー生豆、乳製品(乳由来製品および生乳)、魚介類、ヘーゼルナッツ、肉・鶏肉・卵、パーム油、パルプ・紙、大豆、スパイス、砂糖、野菜です。
詳細は、2025 Non-Financial Statement(英語版PDF、18Mb)の「Environmental Disclosures」セクションをご覧ください。
業界全体の透明性を高めるため、ネスレのサプライチェーンに属する乳製品原材料サプライヤーのリスト(英語版PDF、100KB)を、各サプライヤーが拠点を置く国名とともに公開しています。
デジタル技術には、乳業界を変革する力があります。私たちは、Global Milk Solution というツールを使って、農場から工場までの牛乳のトレーサビリティをデジタル化しました。これには、透明性と輸送効率を確保するためのGPS追跡とルート最適化が含まれています。現在、進捗状況を追跡し、継続的な改善を確実なものとするために、農場ごと、または牛乳 1リットルあたりのGHG排出量を計算するなどの新しいツールを試験的に導入しています。また、再生農業と動物福祉の実践も監視しています。
酪農における安全な労働慣行の支援
農場労働者の公正で安全かつ健康的な労働環境を支援することは、ネスレの優先事項です。ネスレは数年にわたり、乳製品サプライチェーン全体のパートナーや関係者と協力して、米国の乳製品生産における農場労働者の育成を強化してきました。
また、全米生乳生産者連盟(NMPF)は、酪農家が人材と安全管理のベストプラクティスを理解できるように、農場評価ツールを開発しました。このツールは、これらのベストプラクティスの実施を支援し、改善を時間の経過とともに追跡します。
酪農労働者、管理者、経営者が協力して農場の労働環境を改善する複数のプロジェクトに資金を提供しています。プロジェクトは信頼関係の構築と仕事の満足度、労働者の安全、生産性の向上に重点を置いています。

