温室効果ガス排出量実質ゼロへの道
気候変動は社会にとって最大の課題の1つです。また、私たちのビジネスの将来にとっても最大のリスクの1 つです。その深刻さと影響を抑えるには、私たち全員が緊急に行動をとる必要があります。
食品・飲料・栄養企業としてネスレは、製品の製造に使用する原材料を自然環境に依存しています。サプライチェーンの気候変動の影響に対するレジリエンスを確保することは、私たちにとっても利益につながります。
ネスレは、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロを目指して取り組みを続けています。これまでの成果を誇りに思う一方で、まだやるべきことが多くあることも認識しています。昨年末までに、2018年と比較して、温室効果ガス排出量の削減率が20.38%を達成しました。温室効果ガス排出量に関して言及する場合、自社の取り組みの範囲内での排出量を指しています。
私たちは今後10年以内に50%の削減を目指しています。
2020年に発表したネスレの「Net Zero Roadmap」は、私たちの活動の3つのスコープすべてにおいて、温室効果ガス排出量の削減を目指す包括的な戦略です。3つのスコープとは、ネスレの事業による排出量(スコープ1)、ネスレが購入し、事業に使用するエネルギーによる排出量(スコープ2)、ネスレのバリューチェーンにおける排出量(スコープ3)に分類されます。温室効果ガス排出量の大半(95%以下)がスコープ3 の排出量によるものです。乳製品と畜産の原材料は、スコープ3の温室効果ガス排出量の最大の発生源であり、ネスレの総排出量の30%を占めています。
ネスレは、SBTi(Science Based Targets initiative:科学に基づく目標設定イニシアチブ)を通じて、短期的・長期的な科学的根拠に基づく排出削減目標を承認しました。SBTi は、ネスレの2050年までの科学的根拠に基づく温室効果ガス実質ゼロ目標を検証しました。この目標には、2030年と2050年までの森林・土地・農業(FLAG)部門の目標が含まれています。
2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指して
排出量削減向けた取り組み
炭素の削減と除去
温室効果ガス排出量実質ゼロ達成を目指し、ネスレでは、事業全体とサプライチェーン全体で排出量の削減に取り組んでいます。
私たちはサプライヤー、生産者、コミュニティと協力し、土壌の健全性を改善し、炭素を吸収する再生農業を拡大しています。また、物流、パッケージ、製造に関連する排出量削減にも投資しています。森林破壊ゼロと評価された原材料を調達することで、森林破壊のリスクを軽減しています。
ネスレの「Net Zero Roadmap」には、自然気候ソリューションを通した炭素除去が含まれています。これらの除去プロジェクトは、ネスレが原材料を調達し、森林、湿地や泥炭地の回復を支援するランドスケープにおいて行われます。また、こうした取り組みでは、測定可能な炭素削減を実現しながら、生物多様性と地域コミュニティに利益をもたらすことを目指しています。
スコープ1およびスコープ2の排出量については、エネルギー消費を削減し、製造拠点におけるエネルギー消費を100%再生可能エネルギーに移行することを主な戦略としています。
「Net Zero Roadmap」の実践
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再生農業:重要な変革 ネスレ製品の原材料の栽培を再生農業に移行することで、土壌の健全性が改善され、炭素を吸収する能力が向上します。記事を読む -
森林 森林再生を支援する私たちの活動についてご覧ください。記事を読む -
2025年までに、パッケージの95%以上をリサイクル可能な設計にすることを目指しています 排出量と廃棄物を削減するためにパッケージ変更に取り組んでいます。記事を読む -
乳製品供給における排出量削減の取り組み ネスレでは、酪農関連の排出量を削減するため、「Net Zero Roadmap」の一環として「Dairy Climate Plan(乳製品に関する気候変動対策プラン)」を作成しました。記事を読む
気候変動は今や、将来の予測ではなく、実際に経験したことなのです。ネスレのように農業に依存している企業にとって、これは非常に重要なことであり、だからこそ私たちは遅くとも2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成することで一翼を担うことを固く決意しているのです。