デスクワークによる運動不足はこまめに動くことと、簡単筋トレ&ストレッチで解消!
更新日:2024/10/22
デスクワークをしていると、1日8時間以上座りっぱなしということも少なくありません。長時間座ったままでいると姿勢が悪くなり、凝りやだるさの要因となることも。また、悪い姿勢を続けていると正しい姿勢を維持するための筋肉が弱まり、悪循環を生んでしまいます。健康維持のためにはデスクワーク中でもできるだけカラダを動かすことが大切です。
そこで、デスクワーク中に座りながらできる運動や、オフィスでできる筋トレ、ストレッチなどのエクササイズを紹介します。また、デスクワークの合間にコーヒーブレイクを挟むことはついでに運動もするチャンスになります。仕事中にもうまく取り入れて、運動不足解消につなげましょう。
デスクワークの人が運動を取り入れた方が良い理由
デスクワークをしていると、どうしても座っている時間が長くなりがちです。運動した方が良いと分かっていても、面倒に感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、運動を取り入れて座りすぎを防ぐことには多くのメリットがあります。
1-1 健康リスクを減らすため
座りっぱなしの姿勢が長時間に及ぶと、健康リスクが高まるといわれています。
厚生労働省によれば、生活の中で座りすぎている人は座りすぎていない人と比べて、寿命が短く、肥満度が高く、2型糖尿病罹患率や心臓病罹患率が高いことが報告されています。
また、1日8時間以上座り続けていると死亡率が上がるというデータもあります。
健康リスクを減らすためにも、座りっぱなしでいる時間をできるだけ少なくするように気をつけましょう。
出典:座位行動 | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf)
1-2 運動不足解消へのきっかけづくり
忙しい日々の中で、運動不足解消のためにジョギングやウォーキングなどを習慣にするのはなかなか難しいことです。
まずは、仕事の合間や家でもできる簡単な運動から取り入れて、運動不足解消につなげましょう。気軽に続けられることが大切です。
また、運動習慣のあるなしにかかわらず、座りすぎている場合は健康リスクが高まることも報告されています。普段から運動をしている人も、座りすぎには注意が必要です。
1-3 座りすぎによる血流の低下を防ぐ
座ったままの姿勢を続けていると、血管が圧迫されて血流が悪くなる恐れがあります。
また、筋肉には血液を送り出すポンプの役割がありますが、座りっぱなしだとポンプが働きにくくなり、血液の循環が悪くなる恐れがあります。
このように、座りすぎは血流の低下を招き、健康リスクの上昇につながりかねません。
できるだけ立ち上がったり歩くなどの運動を取り入れるように心がけましょう。
デスクワークの人が気にしたい、1日の理想の運動量
運動の種類には、日常生活における家事・労働・通勤などに伴う生活活動と、健康や体力の維持・増進を目的とした運動の2つがあります。
厚生労働省では、1日の運動量の目安として60分以上の歩行またはそれと同等以上の身体活動、または1日8,000歩以上の歩行を推奨しています。この運動量には生活活動も含まれ、家事や仕事のすき間時間の体操や通勤時の徒歩などを積み重ねることでも効果は得られるとされています。
デスクワークをしている人は、こまめに動いて生活活動の運動量を高めることもポイントです。
2-1 通勤・デスクワークの生活活動の量を増やす
仕事中や通勤中の生活活動の例として、以下のことが挙げられます。
- 立ったまま会話をする、電話をする、資料を読む
- 歩く
- 階段を上り下りする
- 自転車に乗る
- 荷物を運ぶ
仕事の合間にできるだけ立つようにしたり、エレベーターではなく階段を使ったりするなど、オフィスでもできる運動を取り入れましょう。
また、歩く時は、ゆっくり歩くより速く歩くほうが運動の強度が高いとされています。通勤時や外出時などは、いつもより速歩きをするのもおすすめです。
2-2 健康維持のための運動
運動というとテニス、ゴルフ、水泳などの「スポーツ」を想像しませんか。スポーツ習慣を生活に取り入れるのは難しいと感じる人も多いでしょう。
しかし、健康維持のための運動にはストレッチやヨガ、軽い筋トレなども含まれます。また、早歩きなどは比較的取り入れやすい運動のひとつです。
無理のない範囲でできることから始めると良いでしょう。
デスクワーク中の運動時間の取り方
厚生労働省では、座りっぱなしの時間が長くなり過ぎないようにブレイクすることを推奨しています。
仕事に集中していると、つい長時間座ったままになってしまうこともあります。そんな時は、ブレイクのきっかけになるようにタイマーを設定して30分ごとに立ち上がる時間をつくることもひとつの方法です。
また、作業に一区切りついたタイミングや会議後などはストレッチや軽い体操をするのもおすすめです。
こまめに動いて座ったままの姿勢が続かないように意識しましょう。
デスクワークで行いたい筋トレとストレッチ
デスクワークでは、座ったままパソコンに向かう姿勢が長時間続くため、筋肉が凝り固まってしまいがちです。
凝り固まった筋肉をストレッチでほぐしたり、長時間動いていない筋肉を軽い筋トレで動かすと、血流を促すことができます。
デスクまわりでできる簡単なストレッチと筋トレを紹介します。
運動するときには、下記に注意して行ってください。
- ここで紹介するストレッチや筋トレのキープ時間は目安です。ご自身のカラダの状態にあわせてキープ時間は調整しましょう。
- 運動中は呼吸を止めないようにしましょう。
- 痛みがある場合は、無理をせず運動を止めましょう。
- 腰痛などの症状がある人は医療機関にご相談ください。
4-1 肩・肩甲骨周辺のストレッチ
まずは肩を上げ下げする体操で、肩周辺の筋肉をほぐします。
息を吸いながら耳たぶに両肩を近づけ、息を吐きながら力を抜き、ストンと肩を落とします。この動きを数回繰り返しましょう。
次に、肩甲骨のストレッチで、凝り固まって動きの悪くなっている肩甲骨周辺の筋肉をほぐします。
腕を反対の腕でカラダの前に引き寄せます。20秒から30秒ほどキープします。
左右どちらもやりましょう。
出典:共通「メンタルヘルス対策」| 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/02_common_mental_jp.pdf)
出典:成人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/000656456.pdf)
4-2 首まわり
首まわりのこわばりは、首筋を指でほぐし、首をまわす運動でほぐします。
首筋ほぐしは、親指以外の4本の指で頭の後ろをつかみ、親指で首筋を押すようにしてほぐします。
首まわしは、首と肩の力を抜き、ゆっくりと首をまわします。反対方向にもまわしましょう。
出典:共通「メンタルヘルス対策」 | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/02_common_mental_jp.pdf)
4-3 背中まわり
背中まわりは、背中を丸めるストレッチでほぐしましょう。
両手を胸の前で組み、前に伸ばします。息を吐きながら胸を後ろに引いて、おへそをのぞき込むようにして背中を丸めます。
ゆっくり呼吸をしながら、20秒から30秒キープ。
このストレッチは猫背などの不良姿勢をほぐすことにも役立ちますが、背中と同時に呼吸に働く筋肉もほぐれるため、呼吸がしやすくなる効果も期待できます。
出典:共通「メンタルヘルス対策」| 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/02_common_mental_jp.pdf)
4-4 体側伸ばし
体側をストレッチすると、肩甲骨周辺の筋肉や呼吸に働く筋肉をほぐすことができます。
両手を組んで上に腕を伸ばしながら胸を張ります。この時、肩甲骨をぐっと上げ、肋骨と肋骨の間を広げるように伸ばしましょう。
ゆっくり呼吸をして肋骨が開いたり閉じたりするのを意識しながら、20秒から30秒程度キープすると良いでしょう。
出典:共通「メンタルヘルス対策」| 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/02_common_mental_jp.pdf)
4-5 腰まわり
腰まわりは2種類のストレッチを紹介します。
ひとつ目は、股関節をねじるストレッチです。
背筋を伸ばして椅子に座ります。カラダを後ろにひねり、背もたれをつかみます。この状態を20秒から30秒キープします。反対もやりましょう。
2つ目は、股関節を前後に動かすストレッチです。
椅子に座った状態から、上体をゆっくり前に倒します。その後、両手を上げながら上体をゆっくり後ろにそらします。数回繰り返しましょう。
出典:共通「メンタルヘルス対策」| 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/02_common_mental_jp.pdf)
出典:身体活動・運動 | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html)
4-6 太ももの筋トレ
座りっぱなしでいると、太ももの前の筋肉が弱くなる恐れがあります。立ったり歩いたりするために重要な役割を担う筋肉のため、鍛える運動を取り入れましょう。
椅子に座った状態で、片脚を水平に伸ばします。この時、足首を立ててつま先は伸ばさないようにしましょう。
呼吸をとめずに、5秒から10秒キープします。両脚とも数回ずつ繰り返すと良いでしょう。
出典:変形性ひざ関節症の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/000656473.pdf)
4-7 正しい姿勢は疲れにくい
座っている時の姿勢にも注意が必要です。椅子に浅く座って背もたれに寄りかかったり、猫背になったりしていませんか?
正しく座るには、深く椅子に腰かけ、お尻と膝がそれぞれ90度に曲がるようにすると理想的。足裏の全体が床につくようにしましょう。椅子の高さが高いとつま先しか床につかなかったり、逆に低いと膝が90度にならなかったりします。椅子の高さは適切に調節しましょう。
また、30分に1回程度立ち上がって座りっぱなしを減らすことも大切です。
デスクワーク中、立ったついでに筋トレ・ストレッチ
座ったままの姿勢が長時間続かないよう、厚生労働省は座りっぱなしをブレイク(中断) して少しでもからだを動かすことを推奨しています。ブレイクのついでに筋トレやストレッチを取り入れましょう。
ただ立ち上がるだけでも血流を促すことが期待できますが、軽い運動をすることで筋肉の凝り固まりなど筋肉への影響への対策が期待できます。
また運動する際には、無理のない範囲で取り組むことも大切です。ご自身のカラダの状態にあわせて行いましょう。
5-1 かかとの上げ下ろし&つま先アップ
かかとを床につけた状態でつま先を持ち上げて足裏全体を床から離します。元に戻したら、今度はつま先立ちをしてかかとを持ち上げます。これを交互に繰り返しましょう。カラダがふらつかないように、椅子や壁などに手を置き、支えながら行うと良いでしょう。
かかとを上げている時はふくらはぎ側の筋肉が鍛えられ、つま先を上げている時はすね側の筋肉が鍛えられます。交互に行うことでより血流の促進が期待できます。
出典:身体活動・運動 | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html)
5-2 太ももの前を伸ばす
太ももの前にある大きな筋肉をストレッチします。
このストレッチでは片足立ちの姿勢になるため、デスクや椅子の背もたれに片手でつかまり、支えにすると良いでしょう。
手で片足の甲を持ち、かかとをお尻につけるように膝を曲げます。
その状態で20秒から30秒キープしましょう。
痛過ぎる場合は、かかとをお尻から遠ざけて心地良いと感じられるところでとまるようにしましょう。
5-3 軽めのスクワット
スクワットでは、立ったり膝を伸ばしたりするために重要な役割を担う筋肉を鍛えることができます。
肩幅より少し広めに脚を開き、椅子に腰掛けるようにゆっくりとお尻を落とします。この時、後ろにひっくり返りそうになる場合は椅子の背もたれなどにつかまってもかまいません。
膝の角度が90度を超えない範囲で腰を落とし、ゆっくりと元に戻ります。
出典:変形性ひざ関節症の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/000656473.pdf)
5-4 フロントランジ
フロントランジでは、太ももやお尻など股関節まわりの筋肉が鍛えられます。
足をそろえて両手を腰にあてます。
次に、片足を一歩大きく前に出します。
上体をまっすぐ起こしたまま、前に出した太ももが水平になるくらいまで腰を落とします。
前に出した足のかかとで床を蹴るようにして元の位置に戻ります。
両脚交互に行いましょう。水平はあくまでも目安です。カラダの状態にあわせて、できる範囲まで腰を落としましょう。
出典:高齢者を対象にした運動プログラム | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/000656460.pdf)
5-5 上半身のストレッチ
このストレッチでは、デスクワークで凝り固まりがちな胸や背中などの筋肉をほぐすことができます。
デスクや椅子の背もたれに両手を置きます。この時、ひじは伸びた状態にします。
腕より頭が下にくるように、脚の付け根から上体を前に倒します。支えている腕に力を入れず、脱力するのがポイントです。
ゆっくり呼吸をしながら、20秒から30秒キープしましょう。
5-6 背中と太ももの裏伸ばし
座ったままの姿勢が続くと、太ももの裏側は押しつぶされて血行不良を起こしがちです。太ももの裏側をストレッチしましょう。
足をそろえて立ち、上体を前に倒します。いわゆる「前屈」の姿勢になります。この時、脚の付け根から曲げるようにすることがポイントです。また、無理に地面に手をつけようとする必要はありません。
デスクワークでは立つ、歩く時間をつくろう
デスクワークをしていると、座ったままの姿勢が長時間続きがちです。できれば30分に1回(難しい場合は1時間に5~10分ほど)は立ち上がるタイミングをつくりましょう。
フロアを移動する、トイレに行く、給湯室まで歩くなど、オフィスの中でも歩く機会をこまめに取ることが大切です。コーヒーを淹れるタイミングも、立ったり歩いたりするきっかけになるでしょう。
コーヒーブレイクなどのちょっとした休憩を取ることは、リフレッシュや創造性の向上にもつながります。また、コーヒーの良い香りを楽しんでほっと一息つく時間はストレスの軽減、同僚や仲間とのコミュニケーションの機会にもなるでしょう。
在宅勤務テレワークの人にもおすすめ、自宅でできるエクササイズ
在宅でテレワーク中なら、床に座ったり寝ながらできるエクササイズも取り入れやすいはず。
手軽にできるエクササイズを紹介するので、オフィスでのデスクワークが中心の人もご自宅でチャレンジしましょう。
エクササイズはご自身のカラダの状態にあわせて行い、無理をしないように気をつけましょう。
7-1 上体起こし運動
まずは、簡単な腹筋のトレーニングを紹介します。
仰向けに寝て、膝を立てます。あごを引いたまま上体をゆっくり起こします。約45度の位置で5秒ほどキープします。
腹筋の弱い人や腰痛のある人は、無理に起き上がる必要はありません。腹筋に力が入っていることを意識して、できる範囲で取り組みましょう。
出典:腰痛の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/000656471.pdf)
7-2 太ももの外側を筋トレ
太ももの外側の筋肉は、股関節の動きにおいてさまざまな働きをします。軽い運動で柔軟性を保ちましょう。
横向きに寝て、両脚を伸ばします。
上の脚を20cmほどゆっくりと持ち上げ、約5秒間キープして元に戻します。息をとめないようにしましょう。
向きを変えて両方の脚で数回ずつやりましょう。
出典:変形性ひざ関節症の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/000656473.pdf)
7-3 腰と背中をストレッチ
デスクワークの腰痛対策にもなるストレッチです。
仰向けに寝て、片方の膝を両手で抱えてゆっくりと胸に近づけます。
深く呼吸をし、お尻が伸ばされるのを感じながら約10秒キープします。
左右両方の脚で行いましょう。
出典:腰痛の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/000656471.pdf)
7-4 股関節のストレッチ
太ももの内側をストレッチします。
座って股を開き、両足の裏を合わせます。
両ひざを手で軽く押し込みます。
痛みを感じる場合は、無理をしないようにしましょう。
太ももの内側には太い血管があるため、ほぐすと血流を促すことができます。下半身の冷えがある人やデスクワーク中に脚を組む癖がある人にもおすすめです。
出典:身体活動・運動 | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html)
7-5 太もも裏側のストレッチ
太ももの裏側をストレッチします。
硬くて足裏に手が届かない場合は、タオルを使いましょう。
脚を伸ばして座り、タオルを片足に引っ掛けます。
両手でタオルの端を持ち、上体をゆっくり前に倒します。
呼吸をとめず、20秒から30秒キープ。左右両方の脚で行いましょう。
座っている時間が長いと、太ももの裏側は押しつぶされて血行不良になりがちです。デスクワークで腰まわりのだるさをすっきりさせたい人にもおすすめです。
出典:身体活動・運動 | 厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html)
まとめ
ここまで、オフィスや在宅でのデスクワーク中におすすめのエクササイズを紹介してきました。仕事中は忙しくてつい長時間座りっぱなしになってしまうこともあると思いますが、ご紹介した簡単筋トレやストレッチを試してみてはいかがでしょうか。ブレイクをする少しの時間でもできるので、こまめに運動する機会を作り、運動不足の解消に役立ててくださいね。
また、あたたかい飲み物を飲むことでカラダもあたたまるので、コーヒーブレイクを取り入れるのもおすすめです。気分転換や運動をするきっかけづくりに活用してみてはいかがでしょうか?