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プレミアム化からEコマースまで

ネスレS.A. ストラテジックビジネスユニット マーケティング・営業 責任者 ベルナール・ムニエが、再生可能なアプローチを増幅させるグローバルトレンドを語る
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ネスレS.A. ストラテジックビジネスユニットマーケティング・営業 責任者 ベルナール・ムニエが、主要な3つのグローバル マーケットトレンドと、それがいかに再生可能なアプローチを増幅させるかについて語ります。

私は農業に情熱を持ち続けています。父は農機具を製造販売していて、若い頃の私は父と一緒に畑に行って農家の方に機械のデモンストレーションをしていました。子どもの頃、私は農家になりたいと思っていました。

この情熱は食品ビジネスに携わるようになっても変わりませんでした。農場、農業にまで遡るという視点をもたらしてくれ、また何十億人もの消費者の視点を国や文化を超えて取り入れてきました。

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私が子どもの頃、印象に残っているのは農場の仕事の厳しさです。時には単一の作物に集中し、土壌を枯渇させるような集中的な生産を行うことは、生態系と農業従事者自身に痛手となってきました。これが、気候危機に大きく影響を与えている、農業による二酸化炭素排出の背景のひとつです。ネスレは、この重要な課題を念頭に置いて、地球とコミュニティを保護、回復、復元しながら、何十億人もの人々に必要な食料を提供する、再生可能なフードシステムを推進する取り組みを行っています。ありがたいことに、この長期的な目標は、私たちの業界の未来を決定づける消費者動向と深く結びついています。

リジェネレーション(環境再生)を推進するネスレのアプローチは、2021年の食品および消費者企業にとってビジネス上最も重要な3つのトレンドの中に織り込まれています。

手頃な価格:経済的現実に立脚する

過去18カ月間、健康と経済に対する影響が、多くの家庭の家計管理の方法を変えました。高品質な食品を入手しやすく、手頃な価格で提供することは、ネスレのミッションの中核を成すものであり、また市場からこれまで以上に求められています。

手頃な価格はリジェネレーションと相反するものだという誤解を私は何度も目にしてきましたが、それは全くの逆です。リジェネレーションは、特権を持つ少数の人々のためのニッチな製品ではありません。気候危機問題の解決に貢献するには、このような手法が真に大規模に機能しなければなりません。幸いなことに、ネスレは絶好なポジションにあります。

ネスレは世界最大のコーヒー会社です。

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考えてみてください。毎秒5,500杯以上の「ネスカフェ」が世界中で消費されています。そして、その驚異的な規模や入手しやすさを保ちながら、「ネスカフェ」は農業従事者がリジェネレーションに取り組むことを支援しています。毎年、「ネスカフェ」は約10万のコーヒー農家を支援しており、作物の品質向上、土壌管理を改善するための作物の多様化、効率的な灌漑方法による環境負荷の低減など、持続可能性に関する重要な取り組みを支援しています。また、ネスレのリジェネレーションの視野は土壌にとどまりません。「ネスカフェ プラン」は女性や若年の農業従事者を対象に、経済計画、記録作成や起農家精神を強化する研修も行っています。

プレミアム化:高級感の追求がサプライチェーンの公平性につながる

プレミアム化の推進は、一見、手頃な価格の必要性とは相反するように思われるかもしれませんが、この1年を振り返ってみると両者が両立することがわかります。私たちの多くは家で過ごす時間を特別で楽しいものにするために、工夫を凝らしています。高級な食材を使った料理、贅沢なデザート、心を温めてくれる特別な製品などです。

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ネスレのIncoaチョコレートは、社内でよくプレゼントに使われています。地球とコミュニティに関するより深いエピソードがあるからです。Incoaは砂糖の代わりに、カカオのこれまで捨てられてしまっていた部分を使用して、「ネスレ カカオプラン」の農場コミュニティを支援しています。消費者がプレミアム、シングルオリジンやトレーサビリティーのある製品を費やすようになると、農業従事者は原材料の品質や再生農法に対する投資に対して、より多くの割増金やインセンティブを得ることができるようになります。研修や投資支援とともに、プレミアム化というトレンドは、世界中の農業従事者の収益性の向上と生活の向上を支援します。

デジタル化:驚異的な精度を実現する最新の配送

最後に、10年前から成長してきた市場トレンドはここ18カ月で一気に加速しました。あふれる情報、デジタル環境下で発生する購買決定や行動です。デジタルは電子商取引にとどまらず、この根本的な変化は今、私たちの生活のあらゆる側面に及んでいます。

農業分野では、デジタルツールが小規模農家に貢献、業界の情報、気象パターンの計画や保険、また農産物の市場価格をもたらしています。

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ネスレの再生可能な方法を発展させながら、環境に与える害を低減するという取り組みにおいて、デジタルシステムの明確性と可視性は、在庫、廃棄物を減らし、リソースを有効活用し、ネスレをよりスリムに効率化します。チリでは、ネスレピュリナが、Algramo社と提携して、Purina Dog Chow製品の一括配送システムの試験運用を開始しました。Algramo社は、電動自転車で、再利用可能で詰め替え可能な容器に小分けしたペットフードを消費者の玄関先まで届けるソーシャル企業です。このシステムがさらに多くの製品や国で展開された場合の影響を想像してみてください。

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スウェーデンのZoégasコーヒーのような長いプロダクトジャーニーの場合でも、デジタル化が再生可能な活動の役割を変えつつあります。IBMのブロックチェーン技術により、消費者はパッケージに記載されたQRコードを読み取ることで、ブラジル、ルワンダ、コロンビアの農園から、豆が焙煎されるヘルシンボリまで、コーヒーの旅を追跡することができるのです。このデータには、農業従事者、収穫時期、焙煎時期などの情報が含まれています。今は小規模な例かもしれませんが、デジタルツールが消費者の体験とリジェネレーションを結びつけるようになるのです。

私たちのような企業は、食品やビジネスのトレンドと深く関わっており、こうした商業的な変化を変革の機会として受け入れることも非常に重要です。ネスレには、何十億人もの人々の食生活を支えつつ、気候変動対策に意味のある貢献をするという重要な役割があります。世界186カ国で事業を展開する食品企業として、気候変動対策に対するネスレの考えは明確です。それは、私たちの責任であり、ビジネス上の必須事項でもあります。消費者のニーズに応えることで、ネスレは最終購買者だけでなくサプライチェーン全体で、より良い再生可能なフードシステムに貢献することができます。次世代のフードシステムはこれにかかっているのです。