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認識に挑む

スリランカの女性酪農家としての人生
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午前5時、バンデーラ・マニケーさんと二人の娘の1日が始まります。酪農家として、牛11頭と水牛1頭の搾乳を最低でも日に2回するためには早朝から仕事を始めなくてはなりません。餌やり、掃除、農作業や動物の世話は搾乳の時間の前後に行います。スリランカの多くの酪農場とは異なり、全員が女性で男性はいません。

家族経営

マニケーさん夫妻は、国内の雇用機会が不足していた1980年代後半、生計を立てるために酪農を始めました。“国は戦争をしており、夫は仕事を見つけることができませんでした”と彼女は語ります。“安定した収入を確保するために、私たちは酪農をはじめたのです”。しかし、2005年、夫が病に倒れ、マニケーさんは事業の責任をたった一人で背負うことになります。

Menike with husband

農場経営、特に手作業だけで行う必要のある搾乳を一人で行うのはきついことです。義理の兄の助けを借りていましたが、義兄も自分の仕事があり、毎日助けてもらうことはできませんでした。間もなく、マニケーさんはネスレの地方研修プログラムの存在を知ります。彼女は適切な牛の搾乳方法を学び、常に最高品質の牛乳を生産できるようになりました。彼女はまた、牧草地を維持するための機械や用具の購入資金のために無利子融資も受けました。“今、私たちは搾乳用の機械を使っています。この機械を手にいれた時は、私の人生における最高に幸せな日の1つです”と彼女は語ります。

資金援助と技術支援だけでなく、ネスレは、マニケーさんがさらに持続可能な方法で農業に携わるように働きかけました。現在は、牛が出す廃棄物をバイオガスに変換し、農場や自宅で電力として使用しています。

表彰された酪農

多くの人々は、酪農は伝統的に男性の仕事なので、彼女には耐えられないだろうと考えていました。しかし、その皮肉は間違いだったことをマニケーさんは証明したのです。実際に彼女は、別の職業に就いていた場合よりも、より長い時間を家族と過ごせています。“収入も得ながら、家族の世話をしたり、常に家族の面倒をみたりするには、どうしても家での仕事が必須です”と彼女は語ります。“もし私が外で仕事をして夜にしか帰宅できない生活をしていたら、家族との時間の多くを失っていたでしょう”。

Menike reward

スリランカ政府は酪農を重視しています。マニケーさんはすでに3人の大統領、多くの閣僚や政府職員と面会しました。昨年、ネスレは、牛乳の品質と生産量、農場と家畜管理を評価して、彼女をスリランカのトップ100酪農家の一人として表彰しました。この表彰により、マニケーさんはコミュニティや農業にたずさわる同業者の間で社会的に認められるようになりました。

“それは大きな挑戦でした”と彼女は語ります。“ただ挑戦に打ち勝っただけではなく、それ以上に小さな農場を成長させ、子供たちを教育できたことを私は誇りに思います。”

次の世代

Menike with daughter

マニケーさんは、事業を拡大する方法を常に探しています。現在、彼女は1日に40リットルの牛乳を生産、一部を家庭用に保存、一部を村の人々に販売、残りの牛乳をネスレに販売しています。常に新しい挑戦を目指しており、彼女は牛乳の生産量を1日100リットルに拡大するという目標を設定しました。

娘たちに支えられ、マニケーさんは魅力的で収益性の高い事業を築きました。彼女はいつの日か娘に事業を譲りたいと望んでいます。“これは私の遺産です”と彼女は言います。“私は自分の事業を今日ある姿にするため努力しましたが、子ども達は、私が経験したような困難を経験する必要はありません。子どもたちが事業を継続し、自らの知識を使いさらに発展させてほしいと思います”。