コーヒー1杯のカフェイン量は?インスタントやドリップなど、種類による違い
更新日:2024/11/28
家事や仕事の合間のコーヒーを習慣にしていると、1日のカフェイン摂取量が気になることもあるかもしれません。1日3杯のコーヒー摂取が推奨されていますが、1杯に含まれるカフェイン量はどのくらいかご存知ですか?
この記事では、コーヒーの淹れ方や焙煎度によるカフェイン量の違いを解説しながら、紅茶やエナジードリンクなど他の飲料に含まれるカフェインについても紹介します。カフェイン量を意識しながら、毎日のコーヒーブレイクを楽しむ参考にしてください。
コーヒー1杯に含まれるカフェインの量はどのくらい?
レギュラーカップのコーヒー1杯(140ml)に含まれるカフェイン量は、日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると80mg程度とされています(ブラックコーヒーの場合)。カップサイズやコーヒーの淹れ方によって1杯当たりの厳密なカフェイン量は異なりますが、1杯(140ml)=約80mg程度を参考にすると良いでしょう。
なお、欧州食品安全機関(EFSA)では、18歳から65歳の成人において1日当たり400mgまで、妊婦・授乳婦で200mgまでのカフェインの摂取は健康上問題がないとしています(一度に飲む場合は成人において200mgまで(ただし睡眠前は100mgまで))。これを超えると直ちに問題になるわけではありませんが、1日のカフェイン摂取量の目安にしてください。
1日のカフェイン摂取量に関する詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。
そもそもカフェインとは?
そもそもカフェインとは、コーヒー豆やカカオ豆、茶葉などに含まれる「アルカロイド」という成分の一種です。カフェインは、コーヒーやお茶の風味を演出する苦味のもと。コーヒー豆や茶葉から抽出されたカフェインは、食品添加物として苦味料などにも用いられています。
カフェインは市販のエナジードリンクや清涼飲料水、医薬品にも含まれることがある成分です。カフェインが一定以上添加されている食品や医薬品には、多くの場合どのくらいカフェインが入っているかが成分表示に記載されています。
抽出方法の違いやコーヒーの種類とカフェイン量
コーヒーに含まれるカフェイン量は、コーヒーの淹れ方や種類によって異なります。ここでは、代表的なコーヒーの淹れ方や飲み方、カフェイン量について解説します。
粉末状のインスタントコーヒー
インスタントコーヒー(ソリュブルコーヒー)は、焙煎したコーヒー豆から得られる抽出液を乾燥して、粉状や顆粒状などに加工したコーヒーのことです。ソリュブルコーヒーはお湯を加えるだけで素早く溶けるため、ドリップの手間がかからず、手軽にコーヒーを楽しめます。
また、入れるコーヒー粉末の量やお湯の量を調整することで、コーヒーの濃さや味わいを自分好みに変えられる点も、ソリュブルコーヒーの魅力です。
文部科学省/日本食品標準成分表より算出すると、1杯(2g使用)あたりのカフェイン量は80mgとなります。
*コーヒー豆は農産物のため、カフェインをはじめとした栄養成分の数値はコーヒー豆の産地・収穫時期によってばらつくことがありますので、あくまで参考値となります(他の抽出方法でも同様です)。
ドリップコーヒー
ドリップコーヒーとは、挽いたコーヒー豆にお湯を注ぎ、フィルターを通して成分を抽出するコーヒーのことです。抽出する際に使用するフィルターによって種類が異なり、紙のフィルターを使用するペーパードリップや、ネルフィルターと呼ばれる布製のフィルターを使うネルドリップなどがあります。
ドリップコーヒーは、抽出時間やお湯の温度、豆の挽き方によって味わいが大きく変わるのが特徴で、好みに応じて細かく調整できる点が魅力です。コーヒー豆の粉末10gを熱湯150mlでドリップした際、ドリップコーヒー100ml中に含まれるカフェイン量は、約60mgとされています。
エスプレッソ
エスプレッソは、細かく挽いたコーヒー豆に高圧でお湯を通し、短時間で抽出する濃縮コーヒーです。圧力によってお湯とコーヒーに含まれる油分(コーヒーオイル)を乳化するので、深いコクと香りが引き出されます。表面に浮かぶクレマと呼ばれるクリーミーな泡も、エスプレッソの魅力の一つです。
カフェ専用マシンを使ったコーヒーというイメージが強いものの、家庭でも直火式やコーヒーメーカーと専用のカプセルなどを使って手軽に淹れられます。
アイスコーヒー
アイスコーヒーは、お湯で抽出したコーヒーを氷に注いで急冷したり、冷蔵庫で冷やしたりして作る冷たいコーヒーです。すっきりと飲みやすい味わいが特徴で、暑い季節に人気があります。
氷に注いで急冷する場合は氷が溶け込んで味が薄くなるため、コーヒー粉を多めに使用し、濃いめに抽出するのがおいしさのポイントです(その分、カフェインが多くなる可能性があるので飲みすぎにはご注意ください)。アイスコーヒー設定のある抽出マシンなら、自動で濃いめのコーヒーを抽出してくれます。
水出しコーヒー
一般的なコーヒーはお湯で抽出するのに対し、水出しコーヒーは水を使って抽出するのが特徴です。コーヒー粉が入ったコーヒーバッグを水に数時間浸して抽出する方法と、水出し専用ポットを用いてゆっくりと抽出する方法があります。
熱を加えずに抽出することから、水出しコーヒーにはコーヒーの油分があまり溶け出しません。苦みや酸味、雑味が少ないので、マイルドな味わいを好む人に選ばれています。カフェイン量はコーヒー豆の種類や抽出時間などによって異なるため、水出しだからといってお湯出しより少ないとは一概にいえません。
市販の缶コーヒーやペットボトルコーヒー
市販の缶コーヒーやペットボトルコーヒーは、自動販売機やコンビニエンスストアでいつでも手軽に入手でき、安定した味を楽しめる点が魅力です。インターネット通販などでまとめ買いすれば、飲みたい時にすぐに飲めるようにストックしておける点も便利でしょう。
ブラックコーヒー100ml中に含まれるカフェイン量は、缶コーヒーで約53mg、ペットボトルのアイスコーヒーで約92mgであるとの調査結果が報告されています。ただし、製品の種類やサイズによって含有するカフェイン量は異なるので、いずれも一度に飲みすぎないようにご注意ください。
参考:M Yamada, S Sasaki, et al. Public Health Nutri. 13(5), 663–672 (2010)
カフェラテやカフェオレ
カフェラテはイタリア語で、カフェオレはフランス語で、どちらも「コーヒー牛乳」という意味です。一般的に、カフェラテはエスプレッソにあたたかい牛乳を加えたもので、カフェオレはドリップコーヒーにあたたかい牛乳を加えたものとして区別されています。
牛乳を使用している分、ブラックコーヒーに比べてまろやかでやさしい味わいを楽しめるのが特徴です。カロリーはブラックコーヒーより少し高くなるので、1日にたくさん飲みすぎることがないようご注意ください。
カフェイン量は製品の種類やサイズによって異なりますが、市販のペットボトルのカフェオレ100ml中に含まれるカフェイン量は約44mgであるとの調査結果が報告されています。
参考:M Yamada, S Sasaki, et al. Public Health Nutri. 13(5), 663–672 (2010)
コーヒーのカフェイン量は豆の焙煎度で変わる?
普段よく目にする茶色のコーヒー豆は、コーヒーの生豆を加熱して炒る「焙煎」工程を経たものです。焙煎前の生豆は淡緑色と淡く、一般的に想像するコーヒーの風味や香りはありません。焙煎により豆の色は茶色くなり、コーヒーらしい味やコクを楽しめるようになります。
焙煎でどれだけ熱を加えるかは、コーヒーの風味や香りを決定づける大切な要素の一つです。コーヒー豆の焙煎度合いは、浅煎り、中煎り、深煎りの3つに大きく分けられます。カフェインは比較的熱に安定であるため、実は焙煎度合いによるカフェイン量の変化はほとんどないことが分かっています。*
*参考:旦部幸博「ブルーバックス コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか」講談社 (2016)
コーヒー以外の飲み物とカフェイン量を比較
コーヒー以外にも、カフェインはさまざまな飲み物に含まれています。カフェインを多く含む代表的な飲み物を以下にご紹介します。
紅茶
紅茶は、摘み取った茶の葉と芽を乾燥させ、完全に発酵させて作られるお茶の一種です。ダージリンやアッサムのように、茶葉の産地名がそのまま紅茶の銘柄として用いられているものもあります。市販されている紅茶の多くは、複数の茶葉が配合されたブレンドティーです。
英語ではblack tea(ブラックティー)と呼ばれ、茶葉に沸騰したての熱湯を注ぎ、3分ほど蒸らしながら抽出して淹れます。紅茶のカフェイン量は、茶葉5gに熱湯360mlを注ぎ、1.5〜4分程度蒸らして入れた場合、100ml中に約30mgとの調査報告があります。
緑茶(煎茶・抹茶・玉露)
煎茶・抹茶や玉露は紅茶とは異なり、発酵させずに作られた緑茶の仲間です。茶葉の収穫後に熱を加えることで、酵素の働きを止めて作られます。緑茶には他に焙じ茶や番茶などがありますが、抹茶と玉露は日光を遮って栽培された茶葉の新芽を使用している点も特徴といえます。
煎茶は、日本で最も一般的に飲まれている緑茶で、種類が豊富です。ブレンドする茶葉の種類や量によって異なるものの、茶葉10gに90℃の湯430mlを注ぎ、1分程度蒸らして入れた場合、煎茶100ml当たりに含まれるカフェイン量は、約20mgとの調査報告があります。
抹茶は、茶葉を石臼などで粉末状にしてお湯や水で点てて飲むため、抽出液ではなく茶葉を丸ごと摂ることになります。使う茶葉の種類や量によって異なるものの、抹茶100ml当たりに含まれるカフェイン量は、約50mgとの調査報告があります。
玉露は、50~60℃のお湯でじっくりとうま味を出した浸出液をいただくものです。玉露100ml中に含まれるカフェイン量はコーヒーよりも多く、茶葉10gに60℃の湯60mlを注ぎ、2.5分程度蒸らして入れた場合、約160mgとの調査報告があります。
参考:福島ら, 日本ポリフェノール学会雑誌Vol.9 39-46(2020)
参考:茶の淹れ方マニュアル | 農林水産省
参考:特集1 緑茶(1) | 農林水産省
ウーロン茶
ウーロン茶も紅茶や緑茶と同じ茶葉から作られますが、発酵の度合いが異なり、半発酵茶に分類されるお茶です。茶葉を完全発酵させたものが紅茶、発酵を止めた不発酵茶が緑茶であるのに対し、ウーロン茶は紅茶と緑茶の中間に分類されます。
茶葉を部分的に発酵させることで、爽やかな香りとコクのある風味を持つのが特徴です。ウーロン茶は沸騰したての熱いお湯を注ぎ、数分ほど蒸らしながら抽出して淹れます。茶葉15gに90℃の湯650mlを注ぎ、0.5分程度蒸らして入れた場合、ウーロン茶100ml中に含まれるカフェイン量は約20mgという調査報告があります。
エナジードリンク
エナジードリンクとは、主にカフェインやタウリン、ビタミン類などを添加した飲料を指します。すっきりしたいと思う時に飲まれることが多い飲料ですが、あくまでも食品の一種です。医薬品や医薬部外品のように、具体的な効能・効果が期待できるものではありません。
製品によって成分は異なりますが、エナジードリンク100ml中には約72mgのカフェインが含まれるとの調査報告があります。全てのエナジードリンクにカフェインが配合されているわけではないものの、中にはカフェイン量がとても多い製品も販売されています。製品に表示されているカフェイン量を確認しながら、摂りすぎにならないよう注意しましょう。
参考:M Yamada, S Sasaki, et al. Public Health Nutri. 13(5), 663–672 (2010)
カフェイン量が気になる時はカフェインレスやデカフェに注目
カフェインレスコーヒーやデカフェコーヒーは、コーヒーのカフェインを90%以上取り除いたものと定義されています。カフェインを全く含まないわけではないものの少量なので、カフェイン量が気になる時や妊娠中におすすめです。通常のコーヒー豆からカフェインをさまざまな方法で除去しており、コーヒーの香りや味わいをそのままに楽しめます。
例えば、カフェイン摂取が気になる夕方以降は、カフェインレスに切り替えるのも一つの手でしょう。夕食後のリラックスタイムにカフェインレスやデカフェコーヒーを活用すれば、コーヒーの味や香りでゆったりと過ごせます。
カフェインレスコーヒーやデカフェコーヒーに関する詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。
参考:コーヒー公取協規約及び同施行規則|全日本コーヒー公正取引協議会
コーヒーでシャキッ!1日3杯の習慣を楽しもう
ネスレ日本では、「3 Coffee a Day 〜 1日3杯のコーヒー習慣がいい人生をつくります」を合言葉に、1日3杯のコーヒー飲用習慣を提案しています。コーヒーを飲むことで、気持ちをシャキッとさせたり、逆にほっと一息ついたりと、オンとオフの切り替えにも役立ちます。1日に摂取するカフェイン量も意識しながら、ぜひ毎日のコーヒー習慣を楽しんでみてください。
参考:カフェインの数値 : 農林水産省ホームページ(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html)