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サステナビリティ経営とは?企業の取り組み事例やメリット、必要性などを解説

記事カテゴリ:[ サステナビリティとは? ]

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更新日:2024/6/10

昨今のビジネス界では、「サステナビリティ経営」が大きなキーワードとなっています。しかし、その重要性やメリット、具体的な取り組み事例については、詳しく知らない方も少なくありません。

そこで、サステナビリティ経営の定義や目的、メリット、ネスレの具体的な取り組み事例を解説します。サステナビリティ経営がどのようなものか、なぜ注目されているのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

サステナビリティ経営(コーポレートサステナビリティ)とは?

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コーポレートサステナビリティとも呼ばれる「サステナビリティ経営」。近年はさまざまなシーンで一般的に使われるようになりました。ここでは、サステナビリティ経営というワードの定義やSDGsとの違いについて解説します。

ネスレのサステナビリティに対する考え方や取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます。

1-1 サステナビリティ経営の定義と方針

サステナビリティ経営とは、環境・社会・経済のサステナビリティに配慮し、事業の持続可能性向上を図る経営戦略です。サステナビリティとは、将来にわたって、今ある価値を長期的に持続させるという概念を指します。その柱となるのが環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3項目です。この3つの頭文字を合わせてESGと言います。

地球は今、危機的な状況を迎えています。企業が短期的な利益のみを追及していては、環境や社会、企業自身の存続にもさらに悪影響を与えるでしょう。

サステナビリティ経営は、このような危機的な状況を回避し、地球の持続可能な未来に貢献するために重要な手段です。企業がESGの観点でサステナビリティに配慮しながら、さまざまなステークホルダーと共存し、共に成長し続けることは、持続可能な未来に欠かせません。

1-2 サステナビリティ経営とSDGs経営の違い

サステナビリティ経営とSDGs経営は共に持続可能な社会の実現を目指すものですが、それぞれの焦点と範囲に違いがあります。

SDGs経営とは、2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs、以下略)に焦点を当てた経営戦略です。SDGsを構成する17のゴールと169のターゲットに対し、ビジネスを通して具体的な貢献を目指します。

SDGsの目標期限は2030年まで。この時までに企業が具体的な社会的課題の解決へ取り組みつつ、ビジネスの発展を目指すことがSDGs経営です。

一方、サステナビリティ経営では企業活動がESGの持続可能性に与える影響全般を考慮し、長期的な戦略を立てる点に重きを置きます。SDGs経営よりも広範囲にわたって、企業の全活動から持続可能性の向上を目指す戦略が、サステナビリティ経営です。

なぜ重要?サステナビリティ経営が必要とされるようになった背景と今後の課題

近年サステナビリティ経営の必要性が高まっている背景には、環境問題の深刻化があります。産業革命以降、私たちの経済活動によって二酸化炭素(CO₂ 以下略)の排出量は増加し続けており、このCO₂が地球温暖化の一因といわれています。また、経済活動による廃棄物の増加も、地球の自然環境にさらなる負担をかけています。

このまま環境問題が深刻化すれば、人間社会全体へ悪影響をもたらし、長期的な発展は望めません。このような状況を改善するためには、政府や自治体だけでなく、企業や団体も含めた社会全体での積極的な取り組みが必要です。

これまで、多くの企業がサステナビリティ経営を通じて、環境への負荷を減らす取り組みを強化してきました。それにより企業の社会的責任を果たし、長期的なビジネスの機会を創出し、企業価値を高めることを目指しています。

ネスレが考えている共通価値の創造(CSV)は、ネスレのパーパス(「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」)の中核を成すものです。ネスレは、自社や株主の皆さまはもちろん、社会や地球にとっても有益であるような意思決定に基づいて事業を構築することを目指してきました。

ネスレが考える共通価値の創造(CSV)についての詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

サステナビリティ経営を行うメリット

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サステナビリティ経営のメリットは、環境保護や社会的責任の達成だけではありません。ここでサステナビリティ経営を通して企業が得られる4つのメリットを解説します。

3-1 地域社会からの信頼感が高まる

サステナビリティ経営を通した企業のSDGsへの取り組みは、環境や社会、経済面のリスク回避を目指せるだけではありません。直接的な社会貢献をすることで、地域社会からの信頼の獲得にもつながります。

例えば、企業が地元の里山保全の取り組みに参画した場合、地域の自然保護が促進されて住民の生活品質が向上すれば、地域からの評価が上がることも。このような貢献からは、企業の社会的責任への姿勢が伝わりやすいため、住民の方々からの信頼を得やすくなります。

企業イメージが向上すると、サステナビリティを重視する顧客やビジネスパートナーからの信頼も得やすくなるという点も大きなメリットです。サステナビリティ経営に取り組む企業同士の連携が生まれ、新たな取り組みに発展するかもしれません。

3-2 投資家の信頼を獲得できる

サステナビリティ経営を採用するメリットには、投資家からの信頼獲得も挙げられます。これは近年、投資判断におけるサステナビリティへの注目が高まっているためです。

投資活動においてESGの観点を組み込む国連支援のイニシアティブ「責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」をご存知でしょうか?経済産業省によると、2012年以降の10年間で、これに署名した機関投資家数は約8倍に急増しています。

特に顕著に見られるのは、気候変動対策への株主の関心です。近年、パリ協定を踏まえた温室効果ガスの排出削減目標に関する事業計画の策定やその進捗、評価の公開を求める提案が増えています。

投資家が企業の環境に対する取り組みを重視している以上、企業からのサステナビリティに対するコミットメントの提示は避けられません。サステナビリティへの取り組みによって、企業の資金調達ができるかどうかがが左右される可能性が高まっています。

参考:サステナビリティ関連データの効率的な収集及び戦略的活用に関する報告書|経済産業省

3-3 消費者の購買意欲が高まる

サステナビリティ経営は、消費者の購買意欲にも良い影響を与えることが分かっています。

経済産業省の調査では「割増価格を支払ってでもサステナビリティな製品を購入したい」と考えている日本人回答者が8割以上。日本以外のアジア太平洋地域では、アンケート回答者の9割以上が同じように回答しました。

消費者のサステナビリティへの意識は世界的に高まっており、購買意欲に直結していることが分かります。

持続可能性に配慮した製品づくりは、今後、サステナビリティ経営の一環としてますます重要となるでしょう。

参考:サステナビリティ関連データの効率的な収集及び戦略的活用に関する報告書|経済産業省

3-4 優秀な人材を獲得できる

サステナビリティ経営を実施する企業は、優秀な人材を集められるというメリットがあります。

学生を対象としたあるアンケートによると、「SDGsへの姿勢や取り組み」を企業選びの基準にしている方が一定数存在することが分かりました。

学生からは、サステナビリティ経営に積極的な企業には将来性があり、社会的な責任を果たしていると評価する声も一部では上がっています。

また、企業のイメージが良く、親しみを感じやすいという声もありました。サステナビリティに焦点を当てる企業には、優れた人材が集まりやすいと言えます。

実は、サステナビリティ経営は既存社員へも好影響です。社会活動への参加は会社への信頼感アップやモチベーション向上につながり、社員同士の団結力が高まるという側面もあります。

参考:サステナビリティ関連データの効率的な収集及び戦略的活用に関する報告書|経済産業省

グローバル企業ネスレにおけるサステナビリティ経営の考え方と重要性

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ネスレは、サステナビリティ経営という概念が一般的になる前から、サステナビリティの概念を重視し、経営に取り込んできました。スイスでの創業から150年以上にわたって、常に長期的な視野に立って考え行動するネスレが、サステナビリティに取り組むことは当然のことでした。

また、グローバル企業として長期的に成功するには、事業活動を行う国や地域と協力し、社会のために価値を創造することが必要でもありました。顧客、従業員、地域社会、そして地球全体に対して価値を創造してこそ、はじめて自社が長期的な成功を収めることができると考え、長年実践し続けてきました。このアプローチを、ネスレの「共通価値の創造」と呼んでいます。

そして、自社の事業のためだけではなく、すべてのステークホルダー ― すなわちお客さまやペットのために、事業を展開する地域コミュニティのために、そして地球のために ― 価値の創造に取り組んでいます。たとえ厳しい外部環境に直面したとしても、ネスレの考え方が簡単に揺らぐことはありません。

社会課題の解決がネスレのビジネスコア

ネスレは、SDGsが正式に採択されるよりも前から、共通価値の創造という考え方を通じて、社会課題の解決にビジネスを密接に結びつけてきました。

共通価値の創造は、CSV(Creating Shared Value)とも呼ばれます。CSVが指すのは、企業が社会全体に対し、事業すべてを通して長期的にプラスの影響を与えるためのアプローチのこと。これこそがネスレのビジネスのコアです。

CSVの概念は、2005年、当時のネスレのCEOであり、現在名誉会長のピーター・ブラベック-レッツマットによって提唱されました。その後、アメリカの経済学者マイケル・ポーターによって広められ、今や世界中に認知されています。CSVという言葉は日本にも伝わり、使用されるようになりました。

ネスレのビジネスコアであるCSVの始まりは、創業者アンリ・ネスレが乳幼児の死亡率を減らすために乳児用乳製品を開発したことです。これがネスレのCSVの原点であり、事業活動を通じて社会的課題に取り組むという姿勢は現代まで引き継がれています。

創業から現在に至るまでのネスレの歩みは、下記のリンクからご覧いただけます。

ネスレのサステナビリティに対するアプローチ

ネスレは、そのグローバルな規模とリソース、専門知識を活かし、お客様はもちろん、地球全体にとっても有益となるような製品やサービスの開発に積極的に取り組んでいます。

食品飲料企業として栄養価の高い持続可能な食生活への貢献を目指しているだけではありません。天然資源の保護、環境再生の支援、そして地域社会の活性化を目指し、責任ある経営を行っています。

ネスレのパーパス(存在意義)は「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」です。この実現に向けて、さらに健康的で持続可能な未来へ貢献しています。

こうしたネスレのサステナビリティへのアプローチは、下記のとおり多岐にわたります。

  • 温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標
  • サプライチェーンでの森林破壊防止
  • 再生農業の推進
  • リサイクル可能な持続可能なパッケージ開発による資源循環性の向上
  • 若年層への機会創出
  • 社内のダイバーシティ&インクルージョンの推進

ネスレが考える共通価値の創造(CSV)についての詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

ネスレが実践する具体的な取り組み事例

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「もっと具体的に、ネスレが行うサステナビリティに関する取り組みを知りたい」と思っている方もいるのではないでしょうか?ここで、ネスレ グローバルが実践する具体的な取り組み事例の一部を紹介します。

7-1 温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指す

2020年にネスレは「Nestlé Net Zero Roadmap」を発表しました。これは、事業の継続的な成長と並行して2030年までに直接的、間接的な温室効果ガス排出量を2018年比で半分に削減し、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成するための計画を詳細かつ綿密に示したものです。

ネスレの事業は成長し続けています。事業成長と同時に、ネスレは再生可能エネルギーの利用拡大や持続可能な包装材料への切り替えなどの取り組みを実施。2022年には、2018年レベルを下回る温室効果ガス排出量を達成しました。この結果から「Nestlé Net Zero Roadmap」が順調に進行していることが分かります。

7-2 再生農業の大規模な推進

再生事業の大規模な推進は、ネスレ グローバルの取り組みの一環です。

ネスレでは、製品の原材料を多くの小規模生産者から調達していますが、このような生産者にとって、森林破壊を防ぐ「再生農業」が期待されています。
再生農業とは、土壌の健全性と肥沃度を高め、水資源や生物多様性の保護を目指す農業のアプローチのことです。過去に劣化したものを維持、持続、改善、回復させるため、持続可能な食料生産の基盤を形成できます。

この再生農業を実現するには、現地レベルでの技術支援が欠かせません。

ネスレでは、この目的を達成するために、「ネスカフェ プラン2030」やカカオ生産者向けの「Income accelerator program(収入向上プログラム)」を実施しています。持続可能な農業方法の採用を奨励し、生産者の収入向上と生計の安定化を目指すことで、生産者への支援を続けています。

7-3 製品全体の栄養価を開示

過去10 年間にわたり、ネスレは自社製品に含まれる食塩相当量、糖類、飽和脂肪酸の削減に力を入れてきました。これは現在も継続中です。

2022年版の『ネスレ 共通価値の創造 報告書』では、ネスレ グローバルが企業として初めて、製品ラインアップ全体の栄養的な価値評価を開示しました。

さらに、ネスレはANTI(※)にも採用されている栄養プロファイリングシステムであるヘルス・スター・レーティング(HSR)を使用。その上で、自社の全製品の栄養価を評価基準に照らし合わせる取り組みを行っています。

※オランダの非政府組織(Access to Nutrition Initiative)の略

また、HSR の評価対象外とされている特定のニーズに対応した栄養設計の製品群の売上も開示。全世界の人々の生活の質の向上に貢献し、より健康的な未来への道を切り開くため、ネスレはこのような努力をしています。

7-4 責任ある調達

ネスレ グローバルは原材料を持続可能な方法で調達し、社会的および環境的影響を最小限に抑えることを目指す「責任ある調達」にも取り組んでいます。この取り組みの目的は、人権を守り、森林や生態系を保護、回復し促進することです。

ネスレは2030年までに、主要原材料の100%の責任ある調達を目標としています。

ネスレは取り組みを通して、環境負荷が高い14の原材料を特定しました。この原材料においては、サプライヤーやパートナーと連携し、サプライチェーンのマッピングを実施。製品の生産において最初に原材料を生産する農園の評価も行っています。

7-5 プラスチックパッケージに関する取り組み

ネスレ グローバルは、プラスチックパッケージの問題に対しても積極的に取り組んでいます。目的は、すべてのパッケージをリサイクル可能にし、埋立地や水域へのプラスチックごみの投棄を防ぐこと。最終的には資源の収集、回収のシステム構築支援を通して、ごみのない未来の実現を目指すことを目的とし、そのための努力をしています。

ネスレの掲げる具体的な目標のひとつが、2025年までにプラスチックパッケージの 95%以上をリサイクル可能に設計することです。同時に、バージンプラスチックの使用を3分の1削減すること(2018年対比)を目指しています。

ネスレは消費者のリサイクル行動を促進するための啓発活動や、回収・リサイクルシステムの改善に向けた政府との協力も積極的に行っています。
ネスレのプラスチックごみに関する取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます。

ネスレ グローバルによるサステナビリティに関する取り組みの進捗状況

ネスレが進めるサステナビリティに関する取り組みは、暮らしと地球を守るための大切な一歩となっています。まず温室効果ガスの排出量を見てみましょう。2023年、ネスレは温室効果ガスの排出量を2018年基準比で13.58%削減するという成果を達成しました。

さらに、2023年には1,276億サービングもの微量栄養素を強化した栄養製品を提供。世界中の人々の健康促進につながるおいしくバランスの取れた食生活へのアクセス向上に努めています。

プラスチックパッケージにおける取り組みでは、パッケージの83.5%をリサイクル可能またはリユース可能にし、バージンプラスチックの使用を14.9.%削減しました。

ネスレ グローバルのサステナビリティに関する取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます。

すべてのステークホルダーのために価値創造を

サステナビリティ経営とは、環境・社会・経済のサステナビリティに配慮し、事業の持続可能性向上を図る経営戦略です。

地球と社会に対して企業が責任を持ち、長期的な発展を目指すには、今やサステナビリティ経営への取り組みが欠かせません。

ネスレ グローバルは、サステナビリティの概念が確立する以前から、環境保全、社会貢献、経済成長を組み合わせた戦略を実施。すべてのステークホルダーにとって価値を創造してきました。

ネスレ日本のサステナビリティに関する取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます。