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サステナビリティと環境問題の関連性は?気候変動と生物多様性を中心に解説

記事カテゴリ:[ サステナビリティとは? ]

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更新日:2025/1/31

近年「サステナビリティ」という言葉が社会に浸透し、日常でもよく耳にするようになりました。

サステナビリティと環境問題に関しては、気候変動や生物多様性の喪失の話題も見かけます。サステナビリティが環境問題とどう関連しているのか、私たちの生活にどう影響するのか、具体的にイメージできない方もいるかもしれません。

本記事ではサステナビリティと環境問題の関連性を分かりやすく説明し、特に重要な気候変動と生物多様性について解説します。

サステナビリティとは

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サステナビリティは、企業のCSR活動やニュース記事、学校での教育、さらにはSNSなど、身近にあるさまざまな場で語られるようになりました。この概念にはどのような意味があり、なぜ注目されるのでしょうか?

1-1 日本語では持続可能性

サステナビリティ(Sustainability)は「sustain(維持する)」と「ability(~する能力)」を組み合わせた造語です。日本語では「持続可能性」と訳されています。

「サステナビリティ=持続可能性」とは、環境や経済、社会に配慮した活動を行い、さまざまな観点から、現在享受している価値を将来にわたって持続させようとする考え方のことです。

サステナビリティという言葉が広く知られるようになったきっかけは、1987年に国連総会によって設立された委員会「環境と開発に関する世界委員会」が発表した報告書「我ら共有の未来」です。

同報告書で使用された「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念が、サステナビリティという言葉を広く一般に認識させるきっかけとなりました。背景には、第二次世界大戦後に経済発展が急速に進む一方で、環境破壊や南北格差といった問題が顕在化してきたという問題意識がありました。

1-2 サステナビリティの「3つの柱」の考え方

サステナビリティは、持続可能な発展を目指す上での基本的な考え方であり、環境・経済・社会の3つの柱に基づいています。サステナビリティに関する取り組みは、この3つの調和が欠かせません。ここでサステナビリティの3つの柱をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

ネスレが取り組む共通価値の創造(CSV)についての詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

1-2-1 環境保護

サステナビリティの柱のひとつ「環境保護(Environmental Protection)」では、環境への負荷を軽減し、自然や生態系を将来にわたり健全に保つことに焦点を当てています。

例えば気候変動という課題に対処するため、化石燃料の使用削減や再生可能エネルギーへの転換などに取り組むことも、環境保護の一環です。

これ以外に、森林や海洋生態系の保護、エネルギー資源の節約なども、環境保護の取り組みとして挙げられます。

1-2-2 経済開発

「経済開発(Economic Development)」では、現在の世代だけでなく未来の世代のためにも、健全で平等な経済成長を目指します。

具体的な取り組みのひとつが貧困問題の解決です。貧困問題の解決は、より平和で安定した社会を築き、経済成長を持続可能なものにする上で欠かせません。貧困に悩む方へ物資や住居を提供する、フェアトレードに取り組むなど、貧困問題の解決にもさまざまなアプローチがあります。

この他、公正な労働条件の提供や社会保障の拡充なども、経済開発の一環です。

1-2-3 社会開発

「社会開発(Social Development)」では、すべての人に公正な機会を提供して生活を向上させることに焦点を当てています。

目指すべきは多様性を尊重し、誰もが参加しやすいコミュニティをつくることで、持続可能な未来への道を築くこと。

例えば教育の格差やジェンダー問題、人種差別などの解決が、社会開発の一環です。
他に、健康や福祉、住宅、交通などの社会サービスの改善、多様な働き方の推進なども挙げられます。

1-3 サステナビリティとSDGs

サステナビリティとSDGsは類似した概念と捉えられる言葉です。実際の意味は異なっており、サステナビリティは広範な概念であるのに対し、SDGsはその概念を実現するための具体的な行動指針を指しています。

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、「地球上の誰一人取り残さない」との理念を掲げ、人類が今後も地球上で暮らし続けていくために達成すべき17の目標と行動計画をまとめたもののこと。

SDGsは17のゴールと169のターゲットで構成されており、サステナビリティの実現に向けて、具体的な目標が示されています。目標達成の期限は2030年です。

SDGsは、持続可能な社会を実現するために経済、社会、環境の各分野で統合的な取り組みを推進する国際的な枠組みです。目標達成には、政府はもちろん企業や市民などあらゆるステークホルダーの積極的な関与が欠かせません。

サステナビリティと環境問題

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サステナビリティの観点から見て、非常に重要な課題の一つとなっている環境問題について、気候変動と生物多様性の喪失から考えてみましょう。

2-1 気候変動

近年、経済活動にともなう温室効果ガスの大量排出により、地球全体の気温が上昇傾向にあります。特に二酸化炭素(以下、CO₂)の排出量は産業革命以降増加し続け、2015年には月別平均濃度が初めて400ppmを超えました。

2021年、IPCC(※)が発表した第6次評価報告書では、1850年~1900年の50年間と比べ、2001年~2020年の20年間で、世界平均気温は約1.1℃上昇、1901年から2018年の間に、世界平均海面水位はおよそ0.20m上昇したと報告されました。

また、今後最も気温上昇が高いシナリオによると、21世紀末までに現在と比べて約4.4℃も上昇するとされ、予断を許さない状況が続いています。

※「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略。世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された、気候変動に向けて対策を行なっていく政府間組織のこと
このまま気候変動が続くと、地球や人々の暮らしにはどのような影響があるのでしょうか?国立研究開発法人国立環境研究所は、第6次評価報告書で指摘されたリスクを以下の4点にまとめています。

  1. 短期的なリスク (2021~2040)
    地球温暖化は短期のうちに1.5℃に達しつつあり、複数の気候ハザードの不可避な増加を引き起こし、生態系及び人間に対して複数のリスクをもたらす。
     
  2. 中長期的なリスク (2041~2100)
    2040年より先、地球温暖化の水準に依存して、気候変動は自然と人間のシステムに対して数多くのリスクをもたらす。
     
  3. 複雑な、複合的、連鎖的リスク
    気候変動の影響とリスクはますます複雑化しており、管理がさらに困難になっている。
     
  4. 一時的なオーバーシュートの影響
    地球温暖化が、次の数十年間またはそれ以降に、一時的に1.5℃を超える場合(オーバーシュート)、1.5℃以下に留まる場合と比べて多くの人間と自然のシステムが深刻なリスクに追加的に直面する。

参考:全大気平均二酸化炭素濃度が初めて400 ppmを超えました ~温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測速報~|環境省 
参考:IPCC AR6 WG1報告書 政策決定者向け要約(SPM)暫定訳(2022年12月22日版)|環境省 
参考:IPCC 第2作業部会 第6次評価報告書 特集ページ|A-PLAT

2-2 生物多様性

地球上には、人間を含む動物や植物、昆虫など、さまざまな生物が互いに関係し合い、支え合いながら生きています。このように多様な生物が共存し、相互に関係し合っている状態を「生物多様性」といいます。

近年は、野生生物の絶滅がかつてない速さで進んでおり、その主な原因である生息環境の悪化や生態系の破壊が深刻な問題となっています。これまでに地球は、過去5回の大量絶滅期を経験してきました。現代はそれに続く「第6の大量絶滅期」にあるとも言われています。

世界自然保護基金(WWF)の「Living Planet Report 2024」によると、1970年から2020年の間の50年間で失われた生物多様性は73%にも上ります。

この喪失の原因に大きく関わっているのが人間の活動です。都市や農地の開発のために自然環境の破壊が進んだことで、数多くの生き物のすみかが奪われることになりました。

無秩序な漁業や狩猟により、生物資源そのものが過剰に利用され、絶滅の危機に瀕している種も増えています。この他、大気や水質の汚染、気候変動も生態系のバランスを崩している原因です。

参考:生物多様性に迫る危機|生物多様性センター
参考:生きている地球レポート2024 - 自然は危機に瀕している -|WWFジャパン

ネスレのサステナビリティに関する取り組み

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ネスレは「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」というパーパス(存在意義)を掲げています。ここでは、ネスレのサステナビリティに関する取り組みを紹介します。

3-1 気候変動への対策

ネスレ日本では、日本貨物鉄道株式会社とJR貨物グループとの間で、2024年2月より静岡〜大阪間における「ネスカフェ ボトルコーヒー」の定期貨物鉄道輸送を開始しました。

これまでも、温室効果ガスの排出量を減らすため、トラックから貨物鉄道や船舶などに輸送を切り替える「モーダルシフト」を積極的に取り入れてきましたが、今後はそれらをさらに推し進める予定です。

貨物鉄道輸送に関する取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます。

また、2023年には全工場での購入電力を再生可能エネルギー*由来の電力へ切り替えました。全3工場合計の温室効果ガス(GHG)排出量年間削減量は約50,000トンになる見込みです。排出量削減に向けて、今後も着実に貢献したいと考えています。

*太陽エネルギー、水力、風力、地熱エネルギー、バイオエネルギー由来等、化石燃料を使わずに発電された電気

再生可能エネルギーに関する取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます

3-2 持続可能なコーヒーを実現する基盤作り

ネスレは、コーヒー栽培をより一層持続可能なものとするために「ネスカフェ プラン2030」を推進しています。

「ネスカフェ プラン2030」の具体的な目標は下記の通りです。

▼2025年までの目標

  • 100%責任あるコーヒー豆の調達
  • 再生農業を通じたコーヒー豆20%調達

▼2030年までの目標

  • 再生農業を通じたコーヒー豆50%調達
  • 温室効果ガス排出量 50%削減

責任ある調達とは、使用するコーヒーが製造過程だけでなく、産地である農場グループまでさかのぼって特定できること。そして、ネスレ独自の責任ある調達基準を満たし、栽培・生産されたコーヒー豆を調達することを意味します。

「ネスカフェ プラン2030」の実現に向けて、ネスレ日本は既に責任ある調達を100%*達成しました。
*生豆生産国の天候その他のやむを得ない事由により、98%を下回らない範囲で調整を行うことがあります。


2023年には約148,000人のコーヒー農家従事者を対象に、再生農業に関する研修を実施し、800人以上の農学者と専門スタッフがコーヒー農家と提携しました。

2010年から配布しているコーヒーの苗木の数は2億9,000万本以上。CO₂の回収・除去を目的に2022年以降、約450万本以上の植樹も行っています。

「ネスカフェ プラン2030」についての詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

3-3 人権の尊重・公正な移行を支援

公正な移行(Just Transition)とは、環境問題の対策をしていく上で労働者や地域社会が取り残されることなく、人権の尊重や地域の発展などの恩恵を受けられるように導く概念のことです。人権の尊重と公正な移行を目指し、ネスレは「責任ある調達基準」を定めました。

責任ある調達基準の中では、サプライヤーとその従業員、代理店、下請け業者に対して、ネスレと取引をする際に常に尊重し順守するように求める、譲ることのできない基準および持続可能な慣行が定められています。

責任ある調達基準による取り組みの一つが「Income accelerator program(収入向上プログラム)」です。このプログラムは、カカオ生産者が抱える多くの課題に取り組み、さらに持続可能なカカオ生産への移行を支援することを目的としており、就学や持続可能な農法、アグロフォレストリー、収入の多角化などの活動に対して、生産者に直接金銭的インセンティブが支払われるようになっています。

「Income accelerator program(収入向上プログラム)」に関する詳細は、下記のリンクからご覧いただけます。

持続可能な社会の実現へ身近なことから始めよう

サステナビリティは環境・経済・社会の3つの柱に支えられています。特に気候変動と生物多様性の喪失は、解決すべき急務の課題であり、ネスレは持続可能な調達や温室効果ガスの削減に対する取り組みを積極的に行っています。

このような課題に大きな影響を与えるのは、企業や政府の努力だけではありません。日常生活における人々の選択も大きな影響を与えます。私たち一人ひとりがそれに気付くことから、サステナビリティに関する取り組みは始まっています。持続可能な社会の実現へ身近なことから始めてみませんか?

ネスレの取り組みについては、下記のリンクからご覧いただけます。