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循環型社会とは?SDGsとの関連性や取り組み事例を解説

記事カテゴリ:[ 循環型社会 ]

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更新日:2025/1/31

近年、「SDGs」や「持続可能な社会」という言葉が社会に浸透していくとともに、「循環型社会」という用語もよく聞かれるようになりました。

この記事では、循環型社会やその関連法である「循環型社会形成推進基本法」などについて詳しく解説するとともに、循環型社会の実現に向けたネスレの取り組みを紹介します。

循環型社会とは

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「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」が特徴とされる現代の経済社会。このような経済社会の在り方は、天然資源の枯渇や気候変動を引き起こすだけでなく、大量資源採取による生態系の破壊が指摘されています。

「循環型社会」とは、石油をはじめとする天然資源を無駄なく使うことで廃棄物を減らし、従来ゴミとしていたものを資源として繰り返し使う、環境に配慮した社会のことです。

循環型社会と似た言葉に「循環経済(サーキュラーエコノミー)」があります。これは、再生可能な原材料を積極的に利用し、商品の回収やリサイクル、再販売や共有などによって環境への負荷を抑え、その過程で経済的な成長をも実現する経済の在り方です。

循環型社会と循環経済には視点や重点の置き方の違いがありますが、どちらも「持続可能な社会の実現」という基本目標に合致する概念といえます。

そもそも「循環」とは何か

循環型社会の「循環」とは本来、どのような意味なのでしょうか?ここでは「自然の循環」と「経済社会における物質循環」という2つの視点から、循環という言葉が指す意味について説明します。

2-1 自然の循環 

循環とは、一巡りして元へ戻りそれを繰り返すことです。「自然の循環」とは、自然界における資源の循環を指します。炭素、窒素、水、空気などの物質の循環や、季節の移り変わりなどです。

例えば、山に降った雨が川から海に流れ出た後に蒸発して大気中へと戻り、再び雨として降る現象がそれに当たります。また、野生の動植物が互いに食べたり食べられたりを繰り返す食物連鎖も自然の循環です。

循環型社会とは、自然の循環を乱すことがないよう、資源採取や環境への負荷をコントロールする社会を意味します。

この点で私たちが直面している環境問題は、自然の循環が乱された結果起きているものです。人間が化石燃料を使用して二酸化炭素(以下、CO₂)を放出させると、大気中のCO₂濃度が上昇します。これが温室効果を持つことにより、地球全体の気温を上昇させ、気候変動を生じさせてしまうのです。

2-2 経済社会における物質循環

一方の「経済社会における物質循環」は、資源の採集から始まるモノの生産、流通、消費、廃棄という一連の経済社会システムの流れの中で、できるだけ物質を循環させていくことを指します。

「Reduce(リデュース)=ごみそのものを減らす」、「Reuse(リユース)=何度も繰り返し使う」、「Recycle(リサイクル)=資源として再活用するという」を積極的に行い、廃棄物になったものを再び資源化する取り組みです。

自然の循環と経済社会における物質循環の「2つの循環」は、調和が図られなければなりません。私たちは生きるために経済社会を営みますが、できるだけ健全な物質循環を通じて自然の循環への影響を最小限とする努力が求められます。

廃棄段階に着目するだけでは不十分で、資源採掘や原料調達、生産、流通、消費など各段階での環境負荷を低減するための取り組みが必要なのです。

循環型社会形成推進基本法の考え方

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日本における循環型社会の実現を進めるための枠組みを定めた法律が、2000年に公布・施行された循環型社会形成推進基本法です。この法律がつくられた経緯や、その基本的な考え方、内容について説明しましょう。

3-1 制定の経緯

資源の大量消費や環境負荷につながる廃棄物への対策、リサイクルのさらなる必要性といった課題の解決に役立つと期待されている循環型社会。循環型社会形成推進基本法はその形成推進のための基本的な枠組みとなるものです。

総合的な廃棄物・リサイクル対策を計画的に進めていくための基盤づくりや、個別の廃棄物やリサイクルに関する法律の整備、循環型社会を目指して実効力のある取り組みを進めるために制定されました。

3-2 基本法での循環型社会の定義

循環型社会形成推進基本法では、循環型社会を次のように定義しています。

「廃棄物等の発生抑制、循環資源の循環的な利用及び適正な処分が確保されることによって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会。」

「廃棄物等の発生抑制」は「Reduce(リデュース)」とも言われます。「循環資源」とは、廃棄物などのうち「Recycle(リサイクル)」や「Reuse(リユース)」ができる有用な資源を指します。

「Reduce(リデュース)=ごみそのものを減らす」、「Reuse(リユース)=何度も繰り返し使う」、「Recycle(リサイクル)=資源として再活用するという」の頭文字をとって「3R」と総称され、循環型社会において重要な役割を果たすことが期待されています。

参考:循環型社会形成推進基本法の概要|環境省

3-3 家電リサイクル法などの個別法

循環型社会形成推進基本法を全体方針として、個別の具体的な政策を実現するための法律(個別法)も定められています。

例えば「廃棄物処理法」は廃棄物の適正な処理に関する個別法で、「資源有効利用促進法」は3Rの推進についての個別法です。

他に、物品ごとの特性に応じたリサイクルに関連する個別法として「家電リサイクル法」「容器包装リサイクル法」「自動車リサイクル法」「食品リサイクル法」などがあります。

また「グリーン購入法」は、国や自治体によるリサイクル製品や環境負荷が少ない商品の積極購入を進めるための個別法です。

循環型社会の形成を適正に進めるためには、これらの法律をしっかり機能させていく必要があります。

参考:循環型社会形成推進基本法|環境省

循環型社会とSDGs

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2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(以下、SDGs)の達成には、循環型社会が大切な役割を果たします。ここではSDGsを構成する17の目標から2つを例にあげ、循環型社会とSDGsの関わりについて説明します。

4-1 SDGs 12『つくる責任つかう責任』

SDGs 12『つくる責任つかう責任』は、ものやサービスを「つくる」側(生産者)と「つかう」側(消費者)の両方が、従来の大量生産・消費・廃棄の仕組みを見直そうというもので、例を挙げると次のような指標が掲げられています。

12.22030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.42020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質 や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.52030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用および再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

※(表 引用)出典:12: つくる責任つかう責任 | 外務省

これらの指標と、資源の効率的な活用と廃棄物の削減によって循環への負荷を減らそうという循環型社会の基本理念は同一のものといっていいでしょう。

4-2 SDGs 14『海の豊かさを守ろう』

SDGs14『海の豊かさを守ろう』の具体的な目標は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことです。

地球上にある水の約97.5%は海水で、地表の約70%を覆っていますが、その海にはおよそ23万種もの多様な生き物が生息しており、食料や資源の供給だけでなく、観光や娯楽の場として、私たちの暮らしを大きく支えてくれています。

しかしその海の豊かさが今、人間の行動によって危機的な状況に陥っています。
この解決のため、SDGs 14では次の指標が掲げられました。

14.12025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

※(表 引用)出典:14: 海の豊かさを守ろう | 外務省

海洋ごみの代表が、使用後に適正処理されずに海へと流出するプラスチック製品です。海への環境負荷を抑えるためには、プラスチック製品を含む廃棄物の適切な管理やリサイクルの推進が必要ですが、これは循環型社会の在り方と共通しています。

循環型社会へ向けたネスレの取り組み

SDGs12『つくる責任つかう責任』の通り、循環型社会の実現には、ものやサービスを「つくる」側(生産者)と「つかう」側(消費者)の両者による取り組みが必須です。

生産者であるネスレが行っている、2つのプロジェクトを紹介しましょう。

5-1 「ネスプレッソ」の使用済みカプセルを回収、再生アルミニウムと培養土を生成

カプセルコーヒーと専用のコーヒーメーカーによる上質なコーヒー体験を提供するネスプレッソは、2020年から独自プログラム「ネスプレッソ リサイクルプログラム」を日本でも始めています。

このプログラムでは、「ネスプレッソ」の使用済みカプセルを店舗などで回収、リサイクル施設で包材原料に使われているアルミニウムとコーヒーかすに分別します。

分別後のアルミニウムは再生アルミニウムとして、多様な製品の原材料として再利用されます。コーヒーかすは、草木や刈り芝などからつくられたチ ップと混ぜ合わせ、ゆっくりと醗酵・熟成させることで植物性堆肥が生み出されます。植物性堆肥へと姿を変えたコーヒーかすはそのままでも植物の成長に役立ちますが、より幅広く活用いただくために様々な素材と混ぜ合わせ培養土として、植栽の管理や野菜の栽培など様々な用途にお使いいただけます。

5-2 廃棄される紙パッケージからTシャツ・トートバッグなどを製作

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ネスレ日本は2023年3月に、資源や食品残渣のリサイクル率向上を目指す企業連携プラットフォーム「一般社団法人アップサイクル」に設立企業として参画しました。
「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック」の使用済みパッケージをスーパーなどの店頭で回収し、アップサイクル※する取り組みを推進しています。

10月には、「一般社団法人アップサイクル」の使用後の紙資源や未利用の間伐材から紙糸を制作するプロジェクト「TSUMUGI」と協力し、「ネスカフェ」や「キットカット」などの紙パッケージを使用して作った“アップサイクル” 商品の一般販売を開始しました。
また、2024年1月には“いつも ココロ はずむ”をテーマに水引のアート作品やアクセサリーを企画・制作・販売する「東京水引」とのコラボレーションが実現し、ネスレ製品紙パッケージをアップサイクルした水引(創作アクセサリー)が発売されました。そのほかにも、さまざまな伝統工芸とコラボレーションを行い、製品の企画・制作・販売を行っております。

※廃棄されてしまう物を価値のある物に変える試みのこと。

私たちにできることから始めよう

政府が推し進める循環型社会の実現に向けた取り組みは、国連が掲げるSDGsの達成に重要な役割を果たすものです。

循環型社会の形成には、従来の社会や経済の在り方を見直し、大きく変えていく必要がありますが、それは簡単なことではありません。

政府や地方自治体といった行政だけでなく、各企業や国民一人ひとりがそれぞれの責任を自覚し、できることから取り組みを進めていくことが大切です。

ネスレのサステナビリティに関する取り組みは、下記のリンクからご覧いただけます。