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プラスチックごみに対するネスレの取り組みについて

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ネスレのビジョンは、プラスチックをはじめとするすべてのネスレ製品のパッケージを埋め立て、海や湖、川への投棄処分によって終わらせないことです。このビジョンを実現し、ごみのない未来を実現できるよう懸命に取り組んでいます。

ネスレは、プラスチックパッケージを100%リサイクル可能に設計するというコミットメントを継続します。2025年までに、95%以上を実現できると考えています。現段階では、ネスレの全パッケージの85.8%がリサイクル可能またはリユース可能です。ネスレ製品のプラスチックパッケージの81.9%が専用のリサイクル施設で処理できるように設計されていますが、私たちにできることはまだあるはずです。世界最大の食品・飲料メーカーとして、ネスレの行動には影響力があり、私たちはその企業規模やスケールを活かすことに全力を尽くします。

ネスレは、2025年までにパッケージに使用するバージンプラスチックを3分の1に削減することに取り組んでおり、リサイクルを促進するための代替パッケージ資材を開拓しています。2022年末時点ですでに10.5%の削減を達成しています。パッケージは、高品質な食品・飲料を安全に消費者に届け、食品ロスや廃棄を削減するために重要な役割を担っています。プラスチック、紙、金属、ガラスなど、パッケージを変更する際は代替案を慎重に検討する必要があります。

ネスレは自らの管理下にある自発的な行動を力強く進展させており、またインフラ開発の推進において各国政府を支援しています。これには、ネスレが事業を展開している地域において、適切な回収、分別、リサイクルスキームの開発を支援することや、可能な限りリユース可能、詰め替え可能な代替品の規模を拡大することなどが含まれます。

ネスレの長期的な目標は、パッケージの削減や改善を実現し、収集、資源回収のためのより良いシステム構築を支援することです。

2020年初めには、バージンプラスチックから食品包装用の再生プラスチックへの移行を行い、革新的なパッケージングソリューションの開発を加速させるために、最大20億スイスフランの投資を発表しました。循環経済を推進するには、使用済みパッケージの管理方法を改革するための協力と協働が不可欠です。こうした認識のもと、機能的で安全かつ持続可能な包装材料の市場をつくる取り組みを加速させ、プラスチックパッケージごみのグローバルな課題に対応するために、私たちは2019年にネスレ パッケージング研究所(Nestlé Institute of Packaging Sciences)を設立しました。

研究所の活動の他、バリューチェーンのパートナー、業界団体、市民社会組織と連携し、ごみのない未来を実現するためのさまざまなパッケージコンセプトを探求しています。こうしたシステム全体での変化は時間のかかることですが、ごみのない世界の実現、そしてこれを達成するためのコミットメントの実現にネスレは取り組みます。

また、消費者向け情報の改善も重要と考えています。ネスレでは、製品パッケージにリサイクル情報を表示し、適切な方法で廃棄されるように支援することで、その改善に取り組んでいます。これらの複雑な課題を解決するためにあらゆる選択肢を検討し、現在そして将来的にもインパクトを与えることができる複数のソリューションを取り入れることを決定しています。

なぜ、パッケージにプラスチックを使用するのですか?

パッケージは食品の保護、食品廃棄の防止、そして製品の品質と安全性を確保する上で重要な役割を果たしており、刷新する際は代替品を慎重に検討する必要があります。ネスレでは、ガラス、金属、紙、プラスチックなど、さまざまな素材を使用しています。

プラスチックは、可塑性、可用性、衛生性、安全性などの特徴をあわせ持つ、理想的なパッケージ資材です。ネスレでは、製品を安全に梱包するために必要な最小限のプラスチックパッケージを使用し、耐用年数を迎えたプラスチックの回収を支援することを目指しています。

2022年、ネスレが使用したプラスチックパッケージの量は?

ネスレの事業は成長を続けていますが、バージンプラスチックパッケージのピークは脱しました。2022年のネスレのプラスチックパッケージの総使用量は90万トン弱で、2019年と比較して重量で35%の削減に相当します。これは、事業全体で使用するパッケージのおよそ4分の1に相当します。

ネスレでは、どのようにプラスチック使用量を削減していますか?

ネスレでは、バージンプラスチックをはじめ、パッケージ資材の使用量を削減したいと考えています。例えば、不要なプラスチックの蓋、装飾、レイヤーやフィルムなどを削減する工夫を行っています。

ネスレは、紙ベースの代替品や'ストローレス'デザインを開発することで、2020年末までにプラスチック製ストローを廃止しました。また、2025年までに全世界のすべての製品について、リサイクル不可、あるいはリサイクルが難しいプラスチックを段階的に廃止していきます。例えば、エジプトでは、ウォーター製品のNestlé Pure Lifeのボトルキャップとネックをカバーするティアオフ式のプラスチックを廃止し、約240トンのPVC(ポリ塩化ビニル)を削減しました。米国では、Gerber 1st Food2nd Foodのすべてのピューレタブからオーバーキャップの蓋をなくし、2,300トン以上のプラスチックを削減しました。

リサイクル不可、あるいはリサイクルが難しいプラスチックはどのように廃止しているのですか?

ネスレでは、使い捨てのパッケージを廃止するため、リサイクル不可のプラスチックの排除に力を注ぎ、また革新的なリユースや詰め替えのビジネスモデルの構築に投資しています。

これらのリユース、詰め替えソリューションの多くは、すでに世界中の市場で試験的に実施されており、現在までに12カ国で20以上のプロジェクトが完了しています。商業的には現在、チリでPurina Dog Chow製品のバルク単位での詰め替えシステム、フランスで「ネスクイック」ココアパウダー、Ricoré チコリ コーヒー飲料、Chocapic Bioシリアルのリユース可能なステンレス容器、また世界の多くの国で「ネスカフェ」や「ミロ」のバルクディスペンサーを提供しています。フランスでは、カルフールをはじめとする小売店と提携し、人気の高いコーヒー、菓子、ペットフード製品をバルクディスペンサーシステムで提供するBulk Alley(バルクアレイ)などのイニシアチブに誇りを持って取り組んでいます。

私たちはリユースや詰め替えソリューションを推進するには、さらに多くの努力を重ねる必要があると認識しており、業界のサプライチェーンや小売パートナーと連携し、リユースや詰め替えシステムの増加や規模拡大に取り組んでいます。

2019年、「ネスクイック」All Natural、Nama Orangeアイスクリーム、「ネスカフェ」ProSlim、「キットカット」(二次包装)、Smartiesブロックなどの製品向けに、リサイクル可能な、あるいはリサイクル可能に設計された紙ベースのパッケージを発売、さらに「ネスクイック」、Nescau、「ミロ」、「ネスカフェ」用の紙ストローをスタートしました。マレーシアでは、「ネスカフェ」の単一素材パウチ、また「ミロ」の外袋を将来のリサイクルを見据えたデザインで発売しました。チリでは、「マギー」スープ、クリームに単一素材ラミネートを採用し、260トン以上の複合材ラミネートの置き換えに成功しました。すでにすべてのウォーターボトルがリサイクル可能ですが、2025年までにウォーターボトルのリサイクル材の使用率を50%に引き上げる予定です。

代替素材の開発はどのように行っているのですか?

業界パートナーとの連携により、さまざまなパッケージ資材の評価と開発を進めています。リサイクル率を高めるために、rPETのみならず、そのほかの食品包装用の再生プラスチック、紙パッケージ、単一素材パッケージの使用量を増やすなどの取り組みを進めています。

パッケージのイノベーションについては、ネスレ製品にとって最も持続可能なパッケージソリューションの開発に努めたいと考えています。食品業界では初となるネスレパッケージング研究所を設立したのは、このためです。50名のパッケージ専門家で構成されたチームが、パートナーとともに、機能的で安全、かつ環境負荷の少ないパッケージソリューションの開発や試験に取り組んでいます。当研究所では、自社のグローバルな研究開発ネットワークに所属する180名以上のパッケージ専門家や、研究機関、スタートアップ企業、サプライヤーと密接に連携しています。

どのような取り組みで再生プラスチックの使用量を増やしていますか?

現在、全世界でネスレの再生プラスチックの使用率は7.7%です。さらに、PETウォーターボトルには12%以上のリサイクル材を使用しています。ネスレでは、パッケージに使用するリサイクル材の割合を増やすことに取り組んでおり、十分な量の食品用のリサイクル材を製造、調達するためのあらゆる機会を模索し続けています。

また、バージンプラスチックの使用量を削減したいと考え、食品用再生プラスチックを調達し、リサイクル率を高めていきたいと考えています。このため、消費者が使用済みの再生プラスチックのプレミアム(割増金)として15億スイスフラン以上を割り当て、再生プラスチック市場にインセンティブを与えています。

「食品用の再生プラスチックの市場の確立」に力を入れていると発言していましたが、これはどういう意味でしょうか?

ネスレでは、食品用の再生プラスチックのシェア拡大を図りたいと考えています。しかし、食品用の再生プラスチックは、供給量が限られています。プラスチックリサイクルの経済学は複雑ですが、簡単に言えば、プラスチックメーカーにとって現在は、食品用の再生プラスチックを生産するよりもバージンプラスチックを生産する方が安価です。プラスチックのサプライヤーがさらに飛躍するには、財政的な保証が必要です。

再生プラスチック調達に対する15億スイスフランの投資は、食品用の再生プラスチックをサプライヤーにとって魅力的な価格で提供することで、こうした傾向を逆転させることを目的としています。これにより、業界におけるリサイクル可能な食品用のプラスチックの導入がさらに推進されることが期待されます。

サステナビリティファンドの重点は何に置かれていますか?また投資対象は?

ネスレのサステナビリティファンドは、革新的なパッケージソリューション、詰め替え、あるいはリユースシステムの開発、分別回収やリサイクルインフラの改善に向けた投資の促進に重点を置いています。このファンドは、未来を見据えた市場のニーズを最もサポートする投資機会を選択します。

パッケージの「簡素化」とはどういう意味ですか?

リサイクル率を高めるためには、パッケージの簡素化が重要です。ネスレでは、パッケージ資材やパッケージ構造の簡素化を図るため、パッケージの設計、開発に関する『Golden Rules(pdf、700Kb)』を策定し、サプライヤーに配布しています。

ネスレの全パッケージに適用されるルールがあります。

  1. 包装された製品の環境性能を最適化する
  2. 一次包装、二次包装、輸送包装の重量と容積を最適化する
  3. 可能な限りリサイクル材を使用する
  4. 現地で利用可能なインフラや技術を検討する
  5. 適切な廃棄/回収についてコミュニケーションする

以下のルールは、特にプラスチックとコート紙について適用されます。

  1. 法律で義務付けられる場合を除き、酸化型分解性プラスチックは使用しない
  2. パッケージ向けにバイオベースの資材を検討する
  3. ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、発泡スチロール(EPS)は使用しない
  4. 透明または薄い色の素材を優先して使用し、カーボンベースのマスターバッチ(樹脂用着色剤)は避ける
  5. 残留する製品を簡単に除去できるようにする

バイオベースや堆肥化可能なパッケージ資材は検討していますか?

2019年9月、スイスのローザンヌを拠点とするネスレパッケージング研究所が発足しました。2025年に向けたパッケージに関するコミットメントを達成するために、ソリューション提供の加速を担っています。

研究所では、パッケージ資材とその使用法を根本から見直し、長期的で持続可能なソリューションを提供するため、世界クラスの研究を行います。ネスレのグローバルな研究開発ネットワーク、大学、イノベーションパートナーとともに、パッケージのあらゆる側面に関する最先端の科学的研究を行います。また、リサイクル可能な従来の素材だけでなく、今後、食品製品を安全かつ持続可能に包装する上でどのような役割を果たすことができるのか、バイオベースや生分解性の素材やシステムの可能性を模索しています。

プラスチックの回収、分別、リサイクルの仕組みづくりをどのように支援していきますか?

プラスチックパッケージごみの世界的な問題に効果的に対処するには、業界、地方自治体、政府、市民社会組織、消費者と協力しながら、システムソリューションを構築しなければなりません。ネスレは、その役割を果たすことを目指しています。プラスチックパッケージは専用の回収システムがないため、適切な廃棄ができない、あるいはリサイクルできないことがしばしばあります。ネスレはこの状況を変えたいと考えています。だからこそ、新しい種類のパッケージの使用、リサイクルを容易にする取り組みの支援など、自社のパッケージをリサイクル可能にする行動を起こし、廃棄物回収システムの改善に取り組んでいます。このアプローチの一環として、ネスレは事業を展開する各国で、十分に機能する回収、分別、リサイクルスキームの開発について政府を支援する積極的な役割を担うことを目指しています。

現在、法的拘束力を持つGlobal Plastics Treaty(世界プラスチック条約)の交渉が進められており、合意に至った場合、それに続く新たな国内規制が見込まれるため、今後は自主的な取り組み以上の規制が形作られることになるでしょう。自主的なプログラムから強制的な法的枠組みへと移行することで、規制がプラスチックシステムの変革を形作る可能性があります。

リサイクルを成功させるには、適切なインフラが必要ですが、現状は必ずしも整備されているとは言えません。私たちは、ネスレがリサイクル率の向上に力を入れている国や、さらにプラスチックニュートラルの達成に注力している国をいくつか特定しました。ネスレが果たすべき役割の内容や範囲は、その地域の状況によって異なります。

ネスレは、廃棄物の管理が不適切で土地や水路に流出している場合が多い12カ国(コロンビア、エクアドル、エジプト、エチオピア、ガーナ、インド、インドネシア、マレーシア、ナイジェリア、フィリピン、タイ、ベトナム)を特定しました。この12カ国は、ネスレのプラスチック使用量の10%以上を占めています。ネスレは現在、これらの12カ国で数十個のPlastics neutrality(輩出したプラスチックの量と回収リサイクルしたプラスチックの量を同量にする)プロジェクトを擁しており、パートナーや団体と協力して、パッケージごみの回収、分別、リサイクルの規模を拡大しています。目的は、パッケージ資材の循環経済を実現し、環境への影響を排除することです。これらのプロジェクトでは、製品に使用する量と同量のプラスチックを回収してリサイクルすることを目指すとともに、リサイクル率の向上やインフラの整備を支援することを目指しています。これには、適切に設計された有効な拘束力のある拡大生産者責任制度やデポジット制度への支援が含まれます。

ウォーター製品のボトルに関してどのような取り組みをしていますか?

ネスレのプラスチックボトルについては、技術的、経済的に可能な限りrPETを採用し、2025年までに全世界のブランドで再生PETの使用量を50%に引き上げることを目標としています。過去10年間で、製造するボトルウォーター1リットルあたりで必要なPETの量を22%削減しました。これは、2025年までにバージンプラスチックの使用量を3分の1削減するという私たちの目標を支援するものです。

ネスレは、消費者が製品パッケージを正しくリサイクルできるよう、どのように支援しますか?

ネスレでは、パッケージ上のラベルを含め、消費者の意識を高め、製品パッケージの正しい廃棄方法とリサイクル方法を伝えることに力を入れています。リサイクル率の向上には消費者が重要な役割を担っているため、責任ある消費者行動に関する啓発キャンペーンを通じて、消費者の関与にも取り組んでいきます。ネスレは、ブランドと企業広報チャネルを通じて、これを実践していきます。

例えばイタリアでは、消費者のパッケージごみの適切な処理を支援するデジタルプラットフォームを導入し、また「ネスカフェ ドルチェ グスト」ブランドは、ドイツとメキシコでリサイクル促進のための消費者啓発キャンペーンを開始しました。パッケージの目標に向けた社内変革を加速させるため、パッケージ サステナビリティ研修プログラムの開発を手がけ、全従業員を対象に展開しています。