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2012年上半期:堅調な業績、通年業績見通しも確認

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神戸
  • 売上高441億スイスフラン(約3兆7,923億円)、オーガニックグロース6.6%、実質内部成長率2.9%。
  • 営業利益66億スイスフラン(約5,675億円)(+6.3%)、営業利益率は15.0%(-10ベーシスポイント[bps])。
  • 新興市場のオーガニックグロースは12.9%、先進国市場は2.6%。
  • 基礎となる資産ベースでの1株当たり利益は、為替変動を除いた実質で12.4%増の1.63スイスフラン。
  • グループ全体のオペレーティングキャッシュフローは2011年上半期の21億スイスフラン(約1,806億円)から51億スイスフラン(約4,386億円)に増。
  • 通年見通し:営業利益率と為替変動を除いた実質の一株当たりの利益の増加とともに、オーガニックグロースは5%から6%。

ネスレCEO、ポール・ブルケ:「上半期の業績は、今日の新しい現実において私たちの戦略のロードマップが妥当であることを示しており、その背後にある素早く、統制の取れた対応により、正しい選択が適切なタイミングで行われたことを立証しています。私たちは、手の届く価格帯の製品(PPP製品)からスーパープレミアム製品まで、グローバルなイノベーションの推進を継続的に行っています。新たに出現してくる消費者へ届く新たな市場ルートを絶えず開拓し、新しいメディアを利用して消費者との直接的な関わり合いとブランド投資利益の双方を増しています。このアプローチにより、新興市場、先進国市場ともに利益の増加を伴う成長を達成しました。上半期の高水準の成長および営業利益率と、資本効率への集中的取り組みから、通年の業績見通しを再確認することができました。」

2012年8月9日、ヴェヴェー発

  • 2012上半期のネスレグループ全体のオーガニックグロースは6.6%、このうち実質内部成長率は2.9%、プライシングによる増加は3.7%でした。為替の変動による影響は-1.8%、買収(売却分を相殺)による増加は2.7%で、グループ売上は7.5%増の441億スイスフランとなりました。
  • 当初の予測通り、原材料価格の高騰により売上原価は50bps増加しましたが、すべての組織と活動を通じて実施している「ネスレ・コンティニュアス・エクセレンス」によるコスト削減と適切なタイミングでのプライシングにより緩和されました。
  • 物流コストは、主に製品売上構成比の改善と効率化による累積効果で30bps減少しました。
  • マーケティングおよび一般管理費は20bps減少しました。消費者向けマーケティング支出は為替変動を除いた実質で増加しましたが、グローバルでの新商品発売をサポートするなど、より効率的かつ効果的に使用することでブランドへの投資利益率を高めております。
  • R&Dへの投資は継続し(売上比率1.6%を維持)、イノベーションを推進しています。
  • グループの営業利益(TOP)は66億スイスフランで、前年同期の62億スイスフランから6.3%の増加でした。利益率は15.0%で、下半期での上昇を予測しています。 純利益は51億スイスフランで、47億スイスフランから8.9%増加しました。
  • 基礎となる資産ベースでの1株当たり利益(EPS)は、為替変動を除いた実質で12.4%増加しました。為替変動の影響を含めたEPSは前年同期の1.46スイスフランから10.3%増の1.61スイスフランとなりました。
  • グループの営業キャッシュフローは、オペレーション(operations)と運転資本(working capital)の改善により、2011年の21億スイスフランから51億スイスフランに増加しました。

ビジネスレビュー

ネスレグループは世界の全地域で成長を維持しました:南北アメリカはオーガニックグロース 6.4%、ヨーロッパは2.6%、アジア・オセアニア・アフリカは12.6%。新興市場では12.9%、先進国市場では2.6%の増加となりました。

 

ゾーン アメリカ
売上高134億スイスフラン、オーガニックグロース5.7%、実質内部成長率-0.1%、営業利益率17.4%、10bps増。

  • ほぼすべてのカテゴリーがゾーンの成長に貢献しましたが、依然として厳しい環境下、特に北米、にあります。
  • 消費者マインドが冷え込んでいる北米では、冷凍食品などのいくつかの食品事業が厳しい状況に置かれています。しかし、冷凍ピザ事業はPizza Dipping StripsItalian Style Favoritesなどの新製品の発売によりDiGiornoブランドが牽引し、売上トップの座をさらに強化することができました。Lean Cuisineはイノベーションと関連コミュニケーションにより成長軌道に戻りました。アイスクリームではスーパープレミアムとスナックのカテゴリーが成長しましたが、プレミアムカテゴリーでは成長が見られませんでした。Coffee-mateは、2011年発売のナチュラル液体クリーマーCoffee-mate Natural Blissを基盤として、高い1桁台の成長を達成しました。ソリュブルコーヒーと菓子は、コアブランドやPPP製品、ネスカフェ MementoSkinny Cowなどのイノベーションにより、プラスに貢献しました。ペットケア事業は、Beneful Baked Delightsフリスキー Plusなどの新規チャンネルへの拡大と新規の製品イノベーションと、ペットショップ、獣医、ブリーダー等の専門店チャネルへの販売強化により、引き続き市場平均以上の成長を達成しました。
  • 中南米では、2大市場であるブラジル、メキシコと同様に、南米南部の諸国が好調なスタートを切りました。特にソリュブルコーヒーはネスカフェ Dolcaネスカフェ ドルチェ グストが、またチョコレートはブラジルでのキットカットの発売とGarotoブランドが成長を牽引しました。新製品としては、チリとメキシコでActicolミルク、すでにゾーンAOA(アジア・オセアニア・アフリカ)で成功を収めたピーラブルアイスクリーム(peelable ice cream)などを発売しました。この地域のペットケア事業は、主にピュリナ プロプランDog Chow、Cat Chowフリスキーなどにより2桁の成長を達成しました。
  • ゾーンの営業利益率は17.4%、10bps増でした。

ゾーン ヨーロッパ
売上高74億スイスフラン、オーガニックグロース2.4%、実質内部成長率0.1%、営業利益率15.4%、100bps減。

  • このゾーンでは昨年1年間で特に南ヨーロッパの環境が悪化しましたが、プレミアム製品およびPPP製品のイノベーションと市場展開が成長に貢献しました。ゾーン全体で、2011年に増加した市場シェアを維持することができました。
  • 西ヨーロッパではフランス、イギリス、ベネルクス地域の成長が顕著でしたが、イベリア地域、イタリア、ギリシャでも成長が見られました。
  • 中央および東ヨーロッパでは、ウクライナ、アドリア海沿岸、ルーマニアの市場が引き続き堅調な業績を達成しました。ロシアはしばらくの間厳しい環境下にありましたが、当社の事業は更なる成長を遂げました。
  • ネスカフェキットカットHertaなどのビリオネア・ブランド(売上10億スイスフランを超えるブランド)やネスカフェ ドルチェ グストのようなイノベーション・プラットフォームは、それぞれのカテゴリー内で成長を牽引しました。アイスクリーム事業は、ギリシャ、ロシア、イタリアで堅調に推移しましたが、北ヨーロッパでは厳しいスタートとなりました。ネスカフェ 3-in-1ソリュブルコーヒーやピーラブルアイスクリームのPirulo JunglyなどのPPP製品は、ゾーン平均を超える成長を維持しました。ペットケアは、GourmetワンプロプランFelixなどの主力ブランドの好業績から、上半期も成長の勢いを保っています。
  • ゾーンの営業利益率は前年同期比100bps減となりましたが、これは前年同期に再編コストと年金費用の削減により200bps改善した反動です。ゾーンは2012年も引き続きオペレーションのパフォーマンスと業務効率を向上させ、ネスレ・コンティニュアス・エクセレンスによる更なるコスト削減を実現しました。またイノベーションとリノベーションによりこの地域の各カテゴリーに更なる価値がもたらされました。

ゾーン アジア・オセアニア・アフリカ
売上高92億スイスフラン、オーガニックグロース11.6%、実質内部成長率8.0%、営業利益率18.9%、60bps減。

  • このゾーンは2011年の好業績を基盤として2桁の成長を維持しました。これは、この地域での多くの機会をとらえ、ネスレの地位を強固なものとしたことによるものです。この好業績は、ブランドへの投資と製品イノベーション、PPPからプレミアム製品までの多層化戦略による販売強化を行ったことによります。一方で、今後の成長の可能性とその能力への投資も継続して行っています。中国の新しい提携先Yinlu社およびHsu Fu Chi社の統合も順調に進んでいます。
  • 新興市場では、ほぼすべての地域とカテゴリーで2桁の成長を達成しました。特にグレーター・チャイナ、アフリカ、中東の成長が顕著でした。中国では、液体飲料はネスカフェ Smoovlatté、常温調理用食品はTotole、菓子はSharkウエハースにより堅調な業績を達成しました。新しいパートナーシップにより、中国におけるネスレのプレゼンスは大きく躍進しました。アフリカの成長を牽引したのはPPP製品で、製品の多くは地域特有の微量栄養素欠乏を補う栄養強化されています。エジプトではアイスクリーム事業でのイノベーションの成功を足がかりにし、南アフリカでは非常にポピュラーなネスカフェ Ricoffyの個包装を新発売しました。中東は、キットカットNido栄養強化(fortified)ミルクおよびグローイングアップミルク(growing up milks)、およびネスカフェにより突出した業績をあげました。インドはキットカットMunchマギーヌードルの売上により好業績を維持しました。
  • ゾーンの先進国市場中、日本はネスカフェ バリスタネスカフェ ドルチェ グストなどのイノベーションによりこの1年間で成長が加速しました。キットカットも上半期は好調でした。日本の復調は、consumer relationship marketing(CRM)やeコマース分野での強力なデジタルコミュニケーションによっても推進されました。
  • ゾーンの既存事業ベースの営業利益率は改善しましたが、上記の18.9%という数値は中国でのパートナーシップの影響を反映しており、依然としてキャッシュフローとEPSは増加の方向性にあります。

ネスレウォーターズ
売上高36億スイスフラン、オーガニックグロース5.6%、実質内部成長率3.5%、営業利益率10.0%、140bps増。

  • 北米と新興市場が、ネスレウォーターズの成長を牽引しました。ミネラルウォーター事業は全般的にプラス推移を維持しました。ネスレ Pure Lifeは新興市場での販売地域拡大を推進し、国際的なブランドであるペリエサンペレグリノも世界的に市場を拡大しました。
  • 北米では、小売、家庭・オフィス向け販売ともに2011年からの勢いを維持しました。手頃な価格のネスレ Pure Lifeから、Poland SpringIce Mountainなどの地域ブランドの水、ペリエ
    サンペレグリノなどの国際的に知られたプレミアム・スパークリング・ウォーターまで、すべての価格帯の事業がこの業績に貢献しました。
  • ヨーロッパの成長は、2011年とは異なり、今期立ち上がりが遅れ影響を受けました。しかし、英国はネスレ Pure LifeBuxtonの好業績により2桁の成長を達成しました。ペリエも、新しい広告「The Drop」がYouTubeで1ヶ月未満のうちに360万ビューを達成、堅調なスタートとなりました。
  • 新興市場は、ネスレ Pure LifeやサウジアラビアのAl Manhal、タイのMinéré、エジプトのBarakaなどの地域ブランドが貢献し、2桁の成長を達成しました。
  • ネスレウォーターズの営業利益率は成長、製品構成、効果的なプライシングとコスト管理により、140bps増となりました。

ネスレニュートリション
売上高38億スイスフラン、オーガニックグロース5.7%、実質内部成長率2.0%、営業利益率20.6%、50bps減。

  • 乳幼児向けニュートリションは、多くの市場でシェアを獲得、新興市場で2桁の成長を達成しました。先進国市場ではこのカテゴリーの成長が鈍化しているにもかかわらず、調製粉乳事業は全世界で2桁の成長を達成することができました。中南米では、新規に立ち上げた抗逆流(anti-reflux)乳幼児用調製粉乳ネスレNAN ARGerberの常温保存可能な乳幼児用乳製品の助けもあり、既存の製品ラインで勢いを持続しました。南アジアでは、Lactogen Gut Comfortと母親用の栄養補給剤Baby&Meの上市に成功しました。東南アジアでは、抗疝痛調製粉乳(anti-colic formula)の展開を継続しました。乳幼児用シリアルは2011年後期に中東でスタートしたプロバイオティクスの拡大により、好調を維持しました。
  • パフォーマンスニュートリションは、本格派アスリートに再度焦点を当てたポートフォリオの大幅な見直しと製品の上市の成功が後押しし、高成長となりました。体重管理ビジネスのJenny Craigは、北米の経済環境や競合環境の影響を受け依然逆風下にありますが、対策を講じています。
  • ネスレニュートリションの営業利益率は、Jenny Craigの低調を反映して、20.6%、50bps減でした。

その他
売上高67億スイスフラン、オーガニックグロース9.6%、実質内部成長率6.6%、営業利益率17.6%、10bps増。

  • ネスレプロフェショナルは、一部の地域の外食産業が依然として難局に直面しているにもかかわらず、飲料、食品ともに今期成長を達成しました。ネスレプロフェショナルの売上のおよそ3分の1を占める新興市場は、2桁のオーガニックグロースを達成しました。飲料では、ネスレ独自のシステムである ネスカフェ Alegriaネスカフェ ミラノは投資により加速度的に成長、Viaggi by
    ネスカフェ
    はフランスでの成功を基盤として、英国、イタリア、スイスで市場展開しました。
  • ネスプレッソは、厳しい経済および競合環境のなかで2桁の成長を達成しました。限定製品のNaoraを発売し、消費者に人気のKazaarをリニューアルしたほか、ブティックの新規出店を世界中で継続しました。既に発表したとおり、ネスプレッソは需要の増加に対応するため、スイスに3番目の工場を建設しています。
  • ネスレ・ヘルス・サイエンス(NHSc)は、北米と新興市場では2桁の成長を達成したことにより、好調な業績でした。ネスレ・インスティテュート・オブ・ヘルス・サイエンスでは、Prometheus社とVitaflo社の買収により、消化器疾患の診断と代謝疾患の治療分野において、個別栄養補給により特定の疾患に対応する能力が向上しました。期末決算後、NHScはAccera社に資本参加しました。主力ブランドのAxonaは米国で販売されている医療用食品で、軽症~中等症のアルツハイマー病の臨床的栄養管理に使用されます。
  • シリアル・パートナーズ・ワールドワイドは、新興市場では強い成長を維持しましたが、ヨーロッパでは軟調でした。ベバレッジ・パートナーズ・ワールドワイドの再編は順調に進んでいます。製薬分野のジョイントベンチャーであるGaldermaLaboratoires innéovは皮膚科領域の牽引により2桁の成長を達成しました。

見通し

この厳しい状況は(特に先進国)、下半期も続くと考えられます。しかし、私たちは今期、予想通りのスタートを切りました。ネスレが推進する種々の取り組みに加え、下半期は売上原価の圧力が若干緩やかになると想定されます。通年見通しについても、オーガニックグロース5~6%、為替変動を除いた利益と基礎となる資産ベースでのEPSの改善というネスレモデルを実現できるよい状態にあると考えています。

2012年上半期売上高および営業利益率一覧


2012年1~6月
売上高
(百万スイスフラン)
2012年1~6月
オーガニック
グロース(%)
営業利益マージン
2012年
1~6月(%)
2011年
同期比
事業分野別
•アメリカ 13,419
(約1兆1,540億円)
+5.7 17.4 +10bps
•ヨーロッパ 7,379
(約6,345億円)
+2.4 15.4 -100bps
·アジア・オセアニア・アフリカ 9,192
(約7,905億円)
+11.6 18.9 -60bps
ネスレウォーターズ 3,555
(約3,057億円)
+5.6 10.0 +140bps
ネスレニュートリション 3,831
(約3,294億円)
+5.7 20.6 -50bps
その他 6,721
(約5,780億円)
+9.6 17.6 +10bps
グループ事業合計 44,097
(約3兆7,923億円)
+6.6 15.0 -10bps
製品別
粉末・液体飲料 9,620
(約8,273億円)
+10.8 23.7 -60bps
ミネラルウォーター 3,558
(約3,059億円)
+5.7 9.9 +130bps
乳製品・アイスクリーム 9,078
(約7,807億円)
+6.7 14.4 +30bps
ニュートリション&ヘルスケア 5,207
(約4,478億円)
+6.4 18.6 -40bps
調理済み食品・調理用食品 6,888
(約5,923億円)
+1.5 13.3 -10bps
菓子 4,560
(約3,921億円)
+6.4 14.0 -210bps
ペットケア 5,186
(約4,459億円)
+8.2 20.7 +70bps
グループ事業合計 44,097
(約3兆7,923億円)
+6.6 15.0 -10bps

日本円表示は次のレートによる参考額:2011年1-6月平均相場 1スイスフラン=86円