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雨の日とミルク缶:ベトナムのコーヒー園における節水

雨の日とミルク缶:ベトナムのコーヒー園における節水

ベトナムのコーヒー園では、しばしばポイ捨てされた日用品が、より効果的なかんがい計画を立てることにより、農家の節水に役立つ道具として、あらたな役割を担いつつあります。

コーヒー農園にあるコンデンスミルクの空き缶は、降雨量を測るのに使うことができます。地中に逆さに差し込まれたプラスチックボトルは、土壌の水分を測ることができます。これらの道具は使い方が簡単で、ただ同然の低コストであることから、国内の小規模コーヒー農家の間で容易に広めることができます。

ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国で、260万人がこの分野で生計を立てています。大部分のコーヒーは、「中央高地」で栽培されており、そこではあらゆる種類の農業によりその地域で使われる水の96%が使われています。

気候変動と農業における水の使い過ぎにより、水不足が農家や一般世帯、産業にとってますます脅威となっています。ネスレが共同出資した研究によると、コーヒー農家は、11月から4月までの乾季の間、3、4回のかんがいを行うのに、必要としている水よりも平均して60%多くの水を使っているとされています。

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水不足は環境的経済的コストがかかる

これによる環境コスト、そしてベトナムのコーヒー産業にもたらしている水不足のリスク以外に、農家はまた財務コストや人件費の問題に直面しています。井戸からくみ上げる水にお金を払うことはしませんが、ポンプを運転するための燃料は買わなければなりません。そして農地に水を引く無駄な時間を費やしているのです。
 

ネスレのアグリサービスチームの現地責任者のファム氏は、この大規模な水問題に素早く取り組む一つの方法は、農家が、近隣農家にも使い方を教えることができるような理解しやすい低コストの道具を使うこと、と説明しています。
 

「ベトナムのコーヒーは2、3エーカーの小規模農家によって発展しているため、大規模な経営技術を実行することは困難です。しかし、コーヒー農家自身が編み出した革新的な道具は、本当に潜在的な可能性があるのです」とファム氏。
 

その国でコーヒーをネスレに直接供給している、約2万の農業従事者の強力な「ファーマーコネクト」(英文サイトへのリンク)ネットワークの中で広まるようにする、というのがコンセプトです。

ベトナムで簡便な測定道具が広まる
 

土壌にプラスチックボトルを逆さにして差し込み、ボトルの中の水分濃度を測定することで、コーヒー農家は土壌の水分量を測る道具を手に入れています。水滴がほとんどなくなると、最初の乾季かんがいの時期が来たことがわかります。
 

創意工夫はこれだけではありません。この最初のかんがいのあと、農家は、コーヒーの木がどれぐらいの量の雨水を浴びたかを知るためにコンデンスミルクの空き缶を使います。これにより、残りの乾季を通じてかんがいに必要な水の量を調整することができます。
例えば、標準的なミルク缶に雨水が6分の1溜まっていたら、およそ100リットル近くの水がコーヒーの木に与えられたことがわかるのです。
 

「プラスチックボトルと缶は役に立ちます。科学的すぎて農家が使いこなせないような複雑な道具を使うよりも効果があります。」とファム氏は言います。
 

ベトナムのコーヒー農家は伝統的に、水をやるたびに木1本当たり700~1,000リットルの水を使いますが、今ではわずか300~400リットルの水で同じ量の収穫があります。このように、多くのケースで50%以上の水を節約しています。
 

草の根的アプローチがベトナムの小規模コーヒー農家に最適

もう少し進んだ国の農家は水利用を削減するために、より洗練された方法を用いますが、ベトナムの農村地域では草の根的活動と教育が有効であることを示しています。ミルク缶とプラスチックボトルは、はっきりとした影響力のあるわかりやすい道具の手本なのです。
 

ネスレは、NGOのレインフォレストアライアンスとで開発した「ネスカフェ ベターファーミングプラクティス」を通じて、ベトナムの「ファーマーコネクト」ネットワークに対して水資源保護に関するより包括的なガイドラインを奨励しています。これはグローバルで展開している「ネスカフェプラン」の一部となります。

ネスレはまた、スイス開発協力庁と協働して、水資源管理など優れた農業実践についてネスレのネットワークを越えて、より多くのベトナムのコーヒー農家に教えるために支援しています。

「ボトルと缶は土壌の水分量を測る簡便な道具で、かんがいの一番よい時はいつなのかを農家に教えてくれます。このベトナムの例はハイテクに関するものでなく、主に常識とシンプルなことの実践に関するものなのです」とスイス本社でウォーターリソースおよびテクニカルマネジャーのガリ氏は語ります。