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2012年:世界的に好調、ネスレモデル推進

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神戸
  • 売上922億スイスフラン(約7兆8,800億円)、86億スイスフランの増加、+10.2%
  • オーガニックグロース5.9%、 実質内部成長3.1%
  • 営業利益は11.8%増加の140億スイスフラン(約1兆2,000億円)、利益率は20ベーシスポイント(bps)増加の15.2%
  • 1株当たり利益は12.2%増加の3.33スイスフラン
  • 予定配当は1株当たり2.05スイスフランに増加
  • 営業キャッシュフローは56億スイスフラン増加して158億スイスフラン(約1兆3,500億円)
  • 2013年の見込み: オーガニック グロース5~6%、営業利益率および基礎となる資産ベースでの1株あたり利益(為替変動を除いた実質ベース)の向上を達成

ネスレCEOポール・ブルケ:「これまで一貫して積み重ねてきた利益を伴う成長をベースに、2012年も広範囲な活動で高業績を達成することができました。先進市場と新興市場の双方で業績が好調だったことがその背景にあります。栄養・健康・ウエルネスというネスレの理念がお客様にさらに大きな利益をもたらし、市場でのブランドの差別化と株主の皆様への利益拡大につながっています。当社の今後の成長を支える礎になっているのが社員のクリエイティビティとイノベーションです。ネスレではブランドに対するサポートを強化しました。また、インドと中国の新施設を含めたグローバルな研究開発ネットワークの強化にも力を入れています。ネスレ ヘルスサイエンスの新事業としてWyeth Nutritionを買収しました。ネスレは責任ある、持続可能な投資を行い、製造拠点を拡大する一方で当社の事業が環境に与える影響を低減する努力を行ってきました。厳しい状況ですが、2013年においても「ネスレモデル」を実現し、オーガニックグロース5~6%を達成すると共に、為替変動を除いた実質での利益率および基礎となる資産ベースでの 1 株あたり利益を向上できるものと確信しています。」

グループの業績

2013年2月14日、ヴェヴェー発‐ネスレの売上は86億スイスフラン、すなわち10.2%増加して922億スイスフラン(約7兆8,800億円)となりました。オーガニックグロース5.9%の内訳は、近年の堅調な成長を基盤に、実質内部成長3.1%、プライシングによる増加で2.8%。マイナスの影響の年が続いてた為替は、昨年は1.7%のプラス要因となり、事業買収も売却との相殺で2.6%のプラス要因となりました。

  • グループ全体の営業利益は140億スイスフラン(約1兆2,000億円)であり、15億スイスフランすなわち11.8%増加でした。営業利益は利益率15.2%で20ベーシスポイント(bps)増加、為替変動を除く実質ベースで10bps増加。
  • 売上原価は30bps減少、物流コストは20pbs減少しました。ネスレ・コンティニュアス・ エクセレンスは前年までのコスト削減に加えて15億スイスフランを超えるコスト削減を達成しました。
  • ネスレはマーケティング総費用を30bps引き上げ、ブランドに対するマーケティングを強化しました。消費者向けマーケティング支出は為替の影響を除く実質ベースで約8%増加しました。
  • 一般管理費は、年金制度の変更により2011年は80bps減少しましたが、2012年では20bps増加しました。
  • 純利益は11億スイスフラン増加の106億スイスフラン(約9,100億円)で、1株当たり利益は12.2%増加の3.33スイスフランでした。基礎となる資産ベースでの1株当たり利益は、為替変動を除いた実質で7.5%増でした。
  • 営業キャッシュフローは、運転資本の大幅な改善を主な理由に、56億スイスフラン増加の158億スイスフラン。

ビジネス概観

  • ネスレグループはあらゆるカテゴリーと地域にまたがる広範囲で成長、オーガニックグロースはアメリカが5.9%、ヨーロッパが2.4%、アジア・オセアニア・アフリカが10.3%でした。
  • 先進国の市況は厳しいものの、商品、システム、販売経路のイノベーションにより2.5%のオーガニックグロースを達成できました。新興市場の成長率は11%で、393億スイスフランの売り上げを達成しました。
  • ネスレは栄養・健康・ウエルネス分野で信頼されるリーダーとしての立場を高めるべく努力を重ねています。商品をよりおいしく健康的にするために、商品の改良も続けています。研究開発を通じて栄養価値の高い商品を届け、食事に関係する疾病の管理に役立つソリューションを開発しています。非感染性疾患への対応に取り組んでいる組織とのパートナーシップの構築にも力を入れています。ネスレ ヘルスサイエンスの新事業として、Wyeth Nutritionなどを買収しました。ネスレ・インスティチュート・オブ・ヘルス・サイエンスが始動し、中国に2つの新しい研究開発部門、インドに新しい研究開発センターを加え、スイスに治験用のグローバルセンターをオープンしました。

ゾーン アメリカ
売上高289億スイスフラン、オーガニックグロース5.2%、実質内部成長率0.6%。営業利益率は 18.6%で、20bps増加。

  • このゾーンでは、北米と中南米の両方で成長しました。
  • 北米では冷凍食品事業の価値認識向上に焦点を置き、レシピと栄養面での改善、新しい販促戦略とコミュニケーションを重視する一方、アイスクリーム事業の高付加価値分野に優先的に取り組みました。その結果、カテゴリー全体でシェアが好転しました。冷凍食品事業は、DiGiorno Italian FavoritesLean Cuisine Salad Additionsなどのイノベーションが好調に貢献しました。アイスクリーム事業はカテゴリーミックスの最適化という戦略を反映し、スーパープレミアムやスナックという高価値の分野で成長しました。もう一つのイノベーションであるハーゲンダッツ Gelatoの発売も成功しました。コーヒー、クリ―マー事業は高成長カテゴリーにおいて順調でした。Natural Blissなどコーヒーメイトの液体商品がクリ―マーをけん引し、ソリュブルコーヒーではネスカフェ Clásicoが好調でした。製品ラインアップの拡大と発売により、ペットケア事業は売り上げを拡大し、シェアを伸ばしています。キャットフード フリスキー Tasty TreasuresとドッグフードBeneful Fiestaが特に好調でした。
  • 中南米は全体として好調を維持しており、すでに定評のあるブランドのもと、地域全体でイノベーションを推進しました。ブラジルでは、ほとんどのカテゴリーが2桁成長を達成しました。中でも、
    キットカットと皮がむけるアイスクリームの発売成功に加え、ネスカフェ ドルチェ グストも好調を継続しました。メキシコでは、手の届く価格帯の製品群からネスカフェ ドルチェ グストまで、コーヒーが成長を牽引しました。その他の地域も好調でした。ラテンアメリカ全体でペットケア事業は2桁成長を達成しました。
  • このゾーンの営業利益率は適正なプライシングと一貫したコスト削減努力により20bps増加しました。

ゾーン ヨーロッパ
売上高154億スイスフラン、オーガニックグロース1.8%、実質内部成長率1.1%、営業利益率は15.7%で10bps増加。

  • このゾーンでは西ヨーロッパと中央・東ヨーロッパが成長し、厳しい市況でも市場成長を上回り、シェアを拡大する機会があることを証明しました。
  • 昨年の勢いそのままに、西ヨーロッパで成長を継続しました。強力なイノベーションパイプラインによる成長と厳しい効率追求の相乗効果で、このゾーンではブランドへの投資と利益率の両方を増加させることができました。これにより2013年も成長の勢いを持続できると思われます。極めて厳しい市況のギリシャとスペインでも成長を達成することができました。英国でも急成長するオンライン、コンビニエンスストア、ディスカウンターのチャネルで実質的な前進を遂げ、大きく成長しました。フランスではほとんどのカテゴリーで市場シェアを拡大しました。このゾーン全体では
    ネスカフェ ドルチェ グストが引き続き成長を牽引し、マギーも多くの市場で好調でした。もう一つの成長分野であるペットケア事業の業績は、特にFelix、Gourmetプロプランピュリナワンなどのプレミアムカテゴリーが牽引しました。
  • 中央ヨーロッパと東ヨーロッパでは、現地での製造と流通事業を強化し、コーヒー事業とペットケア事業で優位に立ちました。ロシアでもネスカフェ、アイスクリーム、チョコレートが実質内部成長に貢献し、成長の勢いが続いています。地域のその他の部分でも高業績を上げることができました。
  • このゾーンの営業利益率は、ブランド投資を増加したにも関わらず、売上増加と適切なコスト管理により10bps増加しました。この増加率は2011年の230bps増加に続いて達成したものです。

ゾーン アジア・オセアニア・アフリカ
売上高189億スイスフラン、オーガニックグロース8.4%、実質内部成長率5.9%。営業利益率は19.0%で、10bps増加。

  • このゾーンは、流通・配荷の拡大と優れた栄養特長を持つ手の届く価格帯の製品群の投入に重点を置くことで、先進市場と新興市場の双方で成長を遂げました。また、中国、インド、フィリピン、南アフリカ、アンゴラ、ベトナムなどの市場でも新しい製造拠点に投資を行っています。
  • 新興市場の中でも、アフリカ、中国、中東、インドネシアでは2桁成長を達成しました。ミロを中心とする粉末飲料、マギーなどの調味料、さらにチョコレート、アイスクリーム、インスタント飲料が好調でした。イノベーション例としてマギー Magic Mealsミロ High Fibreそしてネスレ Esquimo Mummyがあります。
  • 先進市場で最大の伸びを見せたのは日本で、ネスカフェ ドルチェ グストキットカットが特に好調でした。キットカットはチョコレートカテゴリーでマーケットシェアトップのブランドになりました。
  • このゾーンの営業利益率は10bps増加しました。

ネスレウォーターズ
売上高72億スイスフラン、オーガニックグロース6.4%、実質内部成長率4.9%。営業利益率は8.9%で、90bps増加。

  • ネスレウォーターズの業績は引き続き好調で、北米とヨーロッパの先進市場での優位性を高める一方、新興市場での営業規模も拡大しています。これを支えているのがサンペレグリノ
    ペリエといったプレミアムブランドの好調な売り上げです。ネスレ Pure Lifeは2桁の売上成長を達成し、世界1位の地位を固めています。「健康的な水分補給」がボトルウォーターカテゴリーの成長の核であることを証明しました。
  • 北米では、カテゴリの成長を背景にPoland SpringIce MountainZephyrhillsなどの地域ブランドが好調でした。「家庭&オフィス向け」の事業も好調でした。
  • ヨーロッパではフランスと英国の高業績が南ヨーロッパの低迷を補う形になりました。
  • 新興市場は急成長しており、特にトルコ、エジプト、メキシコ、タイは2桁成長を達成しています。
  • ネスレウォーターズの営業利益率は、事業部の高い成長と、製造、調達、流通において効率化が進んだことで改善しました。

ネスレニュートリション
売上高79億スイスフラン、オーガニックグロース6.7%、実質内部成長率3.0%。営業利益率は19.2%で、80bps減少。

  • 2012年はBRICsやアフリカなどの新興市場を中心に乳幼児向けニュートリションが好調で、調製粉乳と幼児用シリアルの両方において2桁成長を達成しました。出生率の低下にも関わらず、特にシェアを拡大したフランスと米国が好調だったことから、先進市場でも成長を達成しました。イノベーションとして、疝痛防止調製粉乳Gerber パウチの世界各地での発売、ならびに米国における長期保存可能な乳幼児用ヨーグルトの発売が挙げられます。11月にWyeth Nutritionの買収が完了したことも主要な新興市場におけるネスレの優位性と事業体制を大きく強化し、栄養事業における成長強化に役立ちました。
  • ダイエット関連事業は引き続き伸び悩みました。パフォーマンスニュートリションは、コア顧客(消費者)に焦点を置き、刷新したPowerBar ProteinPlusを発売したことで、その流通量を拡大しました。
  • ネスレニュートリションの営業利益率はダイエット関連事業と Wyeth Nutrition買収に伴う移行・統合費用の影響を受けました。

その他の事業
売上高139億スイスフラン、オーガニックグロース8.7%、実質内部成長率6.5%。営業利益率は17.2%で、40bps増加。

  • ネスレプロフェショナルは先進市場で成長し、新興市場では2桁成長を達成しましたが、いずれも食品と飲料が牽引しました。売り上げが初めて10億スイスフランに達したシステムソリューションの2桁成長が牽引役となり、飲料事業は全体として高成長でした。
    ネスカフェ Alegriaは60を超える市場に参入し、ネスカフェ ミラノも30市場を超え、さらに拡大しています。食品事業もデザート関連製品や調味料関連製品のイノベーションと顧客志向を梃子に堅調な成長に貢献しています。
  • ネスプレッソも2桁成長という高業績を達成しています。ネスプレッソはヨーロッパでの優位性を引き続き強化し、アジア太平洋地域とアメリカでその存在感を急速に増しています。イノベーションとして5つの新しいグラン・クリュコーヒーと2種類の新しいマシン、MaestriaU(ユー)があります。新たに52のブティックがオープンしたことでその数は48ヵ国で300を超え、ネスプレッソクラブのメンバーを対象にした新しいサービスを開始しました。ネスプレッソは生豆の3分の2以上を独自の「AAA サステナブル・クオリティ・プログラム」から調達し、リサイクル率75%という目標を予定より1年早く達成しました。
  • ネスレ ヘルスサイエンスは、Acceraへの投資およびChi-Medグループとの合弁事業、ニュートリション・サイエンス・パートナーズの設立を通してパイプラインと事業体制の構築を続けています。ネスレ・インスティチュート・オブ・ヘルス・サイエンスが始動しました。償還規則の変更を受け、南ヨーロッパの一部市場の状況は厳しいものでしたが、商品ポートフォリオは順調でした。高齢者医療、救急救命、手術の分野はいずれもイノベーションと製品展開の恩恵を受けました。
  • シリアル・パートナーズ・ワールドワイドは新興市場で2桁成長を達成し、先進市場での低迷を補いました。ベバレッジ・パートナーズ・ワールドワイドの再編が完了しました。製薬会社との合弁事業であるガルデルマLaboratoires innéovのいずれも1桁台半ばの成長を達成しました。

年次総会への取締役会提案

2013年4月11日の年次総会で、取締役会は、1株あたり2.05スイスフランの配当を提案する予定です。配当を受け取る権利が発生する最終取引日は、2013年4月12日です。この正味配当金は2013年4月18日から支払い可能となります。2013年4月4日午後12:00(CEST)時点で株主名簿に記載があり、投票権を持つ株主は、投票権を行使する権利があります。

取締役会はさらに3年間の任期で、Peter Brabeck-Letmathe、Steven G. Hoch、Titia de LangeおよびJean-Pierre Rothを取締役として再選することを提案します。 また、取締役会はEva Chengの選出も提案します。Ms. Chengは米国を拠点とする消費財企業のアムウェイ・コーポレーションで中国と東南アジア地域を統括するコーポレートエグゼクティブバイスプレジデントを務めていました。三期目の任期を満了するAndré Kudelskiは、再選に立候補しない予定です。取締役会は12年間に及ぶ彼の功績に感謝の意を表します。

2013年も明るい見通し

2013年の市況は2012年と変わらず厳しいものと思われます。ただし、2013年においても、当社の競争力を生かして成長機会を捉え、グループ全体で推進する持続的な改善活動から恩恵を受けるでしょう。2013年も「ネスレモデル」を推進し、オーガニックグロース5~6%を達成すると共に、為替変動を除いた実質での利益率および基礎となる資産ベースでの1株あたり利益を向上し、資本効率を向上できるものと確信しています。

通年売上高および営業利益マージン概要

  2012年1~12月
売上高
(百万スイスフラン)
2012年1~12月
オーガニック
グロース(%)
営業利益マージン
2012年
1~12月(%)
2011年
同期比
事業分野別
アメリカ 28,927
(約2兆4,700億円)
+5.2 18.6 +20bps
ヨーロッパ 15,385
(約1兆3,200億円)
+1.8 15.7 +10bps
アジア・オセアニア・アフリカ 18,912
(約1兆6,200億円)
+8.4 19.0 +10bps
ネスレウォーターズ 7,174
(約6,100億円)
+6.4 8.9 +90bps
ネスレニュートリション 7,858
(約6,700億円)
+6.7 19.2 -80bps
その他 13,930
(約1兆1,900億円)
+8.7 17.2 +40bps
グループ全体 92,186
(約7兆8,800億円)
+5.9 15.2 +20bps
製品別
粉末・液体飲料 20,038
(約1兆7,100億円)
+8.9 22.5 -20bps
ミネラルウォーター 7,178
(約6,100億円)
+6.4 8.9 +90bps
乳製品・アイスクリーム 18,564
(約1兆5,900億円)
+5.7 15.1 +140bps
ニュートリション&ヘルスケア 10,726
(約9,200億円)
+6.7 18.3 -40bps
調理済み食品・調理用食品 14,432
(1兆2,300億円)
+1.4 14.1 -40bps
菓子 10,438
(約8,900億円)
+4.8 17.1 +30bps
ペットケア 10,810
(約9,200億円)
+7.0 20.4 -20bps
ネスレグループ事業合計 92,186
(約7兆8,800億円)
+5.9 15.2 +20bps

日本円表示は1スイスフラン=85.5円(2012年平均)による参考額