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コートジボワールで開催された共通価値の創造フォーラムの期間中に、ザンバクロ実験農場を視察する、ネスレ会長のピーター・ブラベック-レッツマット。この農場はネスレのアビジャン研究開発センターの付属施設で、視察にはアジア・オセアニア・サハラ以南アフリカ責任者のワン・リン・マルテロが同行しました。

2016年は、ネスレにとって2つの重要な節目にあたる年でした。

一つは、ネスレが創業150周年を迎えたことです。ネスレの歩みは、アンリ・ネスレが乳児用シリアルを開発したことに始まり、以来、「生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献します」という存在意義に沿って企業活動を行ってきました。

ネスレは日々、世界中の何十億という人々の生活に関わっています。ネスレ社員から、原料の栽培にあたる農業従事者、ネスレ製品を楽しんでくださる家族まで、ネスレの事業所がある現地のコミュニティ、そしてすべての人が依存する自然環境にも関わりをもっています。敬意に根差したネスレの価値観によって導かれ、ネスレはパートナーの皆さまとともに共通価値の創造に取り組み、ビジネスの長期的な成功を確実なものにしながら社会に貢献しています。

ここに、2016年版の『Nestlé in society』をお届けします。この報告書は、私たちの進捗状況を説明し、ネスレの存在意義と意欲的な目標、そして42の具体的なコミットメントがどのように社会に貢献しているかを紹介するものです。

ネスレの共通価値の創造における優先課題は、ネスレの事業と社会が最も深く交わり、私たちが最大の価値を創造し最大の変化をもたらすことができる分野にあります。まず、「栄養」の分野では、乳幼児と子どもに強く重点を置いて、個人や家族のさらに健康で幸せな生活を実現させるコミットメントにしました。「農村開発」の分野では、困難に負けない活気あるコミュニティの育成と、私たちがともに暮らし、ともに働く人々の生活向上の支援に取り組んでいます。「水」の分野は、地球にとって重大な懸念のある問題であり、食料安全保障の要となる分野です。未来の世代のために天然資源を守るというネスレの決意を強く打ち出すため、私たちは「水」と「環境サステナビリティ」の分野のコミットメントを強化しました。

以上のすべての取り組みを支えているのは、コンプライアンス、人権、社員に対する確固としたアプローチです。ネスレは人権、公正雇用、多様性を尊重し、推進しています。世界規模で重要な懸念となっている問題の一つに、若者の高い失業率があります。その対策として、ネスレでは他社やパートナーにも参加を呼びかけながら、「グローバルユース・イニシアチブ」の拡大を継続しています。

中国雲南省普洱市の「ネスカフェ」コーヒーセンターの開所式で挨拶する、ネスレCEOのポール・ブルケ。式には現地自治体政府の代表者や、業界のリーダー、コーヒー栽培業者らが出席しました。

ネスレが2016年に迎えた2つ目の節目は、国際連合の「持続可能な開発目標(SDGs)」の採択から1周年を迎えたことです。これらの目標においては、明確な指標枠組みが定義され、民間部門の役割と共通価値の創造の精神に基づく民間部門の貢献がしっかりと認識されています。

これらの目標は、2030年までに貧困、飢餓、不平等を撲滅し、地球の天然資源を保護するためのビジョンを示しています。17項目ある目標は、ネスレの共通価値の創造のアプローチと密接に結びついており、そこに取り入れられています。ネスレは、最も重要でプラスの影響をもたらすことのできる目標に重点を置いています。

SDGsの時間軸を反映させるため、私たちは2030年に向けた一連の包括的で意欲的な目標を定めました。これはネスレの行動の指針となり、2020年コミットメントの方向性を示すものです。

ネスレは事業をするための共通価値の創造のアプローチを通じてだけでなく、協力や連携、ステークホルダーとの関わりも通じて、SDGsの達成に向けて積極的に役割を果たしています。たとえば、コンシューマーグッズフォーラムを通じ、健康とウェルネス、社会の持続可能性、気候変動、環境サステナビリティに関する決議やコミットメントによって、グローバルな共通課題の策定を支援しています。

ネスレは2016年も前年までと同様に、企業サステナビリティリーダーシップとSDGsへの共同関与のための重要なプラットフォームである国連グローバル・コンパクトLEADの提唱メンバーとして、国連グローバル・コンパクトを支持することを表明しました。

以上のような取り組みの根底には、敬意に根差したネスレの価値観があります――すなわち、私たち自身と他者、私たちが暮らす世界の多様性、そして未来に敬意を払うことです。ネスレの『経営に関する諸原則』と『考働規範』は、私たちの責任を明確に定めています。

本報告書を含めた各種の報告書を通して、透明性、改善、関与の姿勢が、ネスレのあらゆる行動の原動力となっていることをおわかりいただければと願っています。共通価値の創造委員会とその他多くのステークホルダーが、その見識と建設的な批判を通じて私たちの活動を導いてくれます。

投資家の皆さまには、企業の業績を財務的観点と社会的観点の双方から見て、経営陣がその両面を企業のガバナンス、戦略、経営にどのように統合しているかを評価していただきたいと考えています。そのため、今年の報告書には投資業界向けのセクションを設けています。

何よりも重要なのは、共通価値の創造とは、私たちの企業としてのあらゆる行動を通じて、株主の皆さまや社会全体に長期的にプラスの影響をもたらす手段であるというネスレの基本的な信念を、この報告書が示しているということです。共通価値の創造は、ネスレが社会と同様に株主の皆さまにも、価値創造を最大化する活動に的を絞った事業戦略であるという点で、他にはない独自のものです。

ネスレのコミットメントと本報告書に関する皆さまからのご意見をお待ちしております。

会長 ピーター・ブラック・レッツマット CEO ポール・ブルケ
ピーター・ブラベック-レッツマット
会長
ポール・ブルケ
CEO

 

ネスレ日本 トップメッセージ

ネスレ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO
高岡 浩三

ネスレは、世界最大の食品飲料会社です。世界191カ国に拠点を持ち、32万8,000人の従業員が、「生活の質を高め、健康な未来づくりに貢献します」というネスレの存在意義を示すために働いています。

ネスレの約150年の歴史は、栄養不足による乳児死亡率の高さに心を痛めた創業者アンリ・ネスレが、乳児用シリアルの開発に成功したことから始まります。最初の製品につけられた、親鳥が雛に向かう姿勢は、アンリ・ネスレの創業の精神とともに現在も世界中で販売されるすべてのネスレ製品に受け継がれています。ネスレは、創業の時から常に社会的な問題を解決し、生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献してきました。そしてこれからも続けてまいります。

10年前、ネスレは共通価値の創造という考えを提唱しました。共通価値の創造は、ネスレの存在意義を実現していくための事業戦略です。事業を通じて社会的な問題を解決することこそが、私たちの使命、責任であり、同時に機会でもあります。私たちの事業活動から得られる経済的価値と同時に、社会的な問題を解決することで社会的価値も生み出すことができます。

私たちネスレ日本は1913年に創業し、2013年に100周年を迎えました。少子高齢化が進む成熟先進国の日本市場で、ネスレの製品やサービスを通じて日本社会が抱えるさまざまな問題解決に取り組んでいます。それには、顧客の問題解決を第一に考えることが重要です。常に顧客の問題解決を考えることが、イノベーションそして共通価値の創造を実践する上で鍵となるのです。皆さまから信頼される企業となるために、社会や顧客の皆さまの抱えるさまざまな問題に対して、価値ある解決策をこれからも提案し続けていけるよう全力で取り組んでまいります。

高岡 浩三
ネスレ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO